3月17日に行なわれたパンクラス新木場コースト大会の前半戦、若手選手がしのぎを削るプレリミナリーファイトの中で、とりわけ注目されたのが前田浩平vs平田純一のバンタム級マッチだ。前田はアマチュアMMAオセアニア選手権優勝の実績を持ち、世界大会にも出場。さらに昨年の格闘リアリティ番組「格闘代理戦争」に那須川天心推薦選手としてエントリーし、知名度を上げた。
その後、アマチュア世界大会を経て、今回は満を持してのプロデビュー。アマチュア時代に名前を売ったとはいえ「知名度と実力が釣り合ってないのは自分でも分かってます」と前田。番組の看板を背負う責任感を持ちながらのプロ初戦だった。
序盤、前田は平田のパンチに合わせてタックルを決め、テイクダウンに成功。23歳と若い前田に対し、46歳の平田は下からラバーガードに捉え、ヒジ打ちを放っていく。
しかし前田はスタンドに戻るとローキック。2ラウンドにも打撃で先手を取る。平田が組みついてくると、逆に大内刈りでテイクダウン。パンチ、ヒジでダメージを与えると、3ラウンドもスタンド、グラウンドとも優位な展開。完全に試合を支配して判定3-0の勝利を収めた。
平田はグラウンドでのガードが固く、最後まで気が抜けない展開の中でプロ1勝目をもぎ取った前田。優位に試合を進めていただけに、欲を言えば最後はフィニッシュ(KO・一本)したかったところではある。大会の解説を務めた大沢ケンジ氏も言っていたように、将来に期待を抱かせる勝ち方としては、やはりKOか一本だっただろう。目標は「パンクラスのベルトです」と言う前田だけに、だ。
とはいえ、緊張で実力の半分も出せずに終わってしまってもおかしくないのがデビュー戦。完勝だったことは間違いなく、試合前にテーマだとしていた打撃と組み技のバランスも悪くなかった。課題もあり、満点ではないが合格点。そんなデビュー戦を終えると、前田はツイッターで「次回こそはフィニッシュできるようにまた練習に励みます」。前田をはじめ、「格闘代理戦争」から羽ばたいた選手の成長ストーリーは、ここからが本番だ。
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