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(野村の挑戦を退け、3度目の防衛に成功した宮原。マイク、コメントまで含め完璧なメインイベンターぶりだった)

 3月19日の全日本プロレス・後楽園ホール大会は、創設47年目となる老舗団体の歴史においても重要なものとなった。

 この日のメインイベントは三冠ヘビー級選手権。チャンピオンの宮原健斗が30歳、初挑戦の野村直矢が25歳という、平成生まれ同士のフレッシュな顔合わせだ。宮原はすでに4度の戴冠を果たし、今回は3回目の防衛戦。現在の全日本プロレスの“顔”であり、三冠ベルトといえば宮原というイメージも強くなってきている。観客にアピールしまくる入場から試合後のマイクまで“宮原ワールド”が確立されていると言っていい。

 そんな宮原が求めていたのが、同世代の選手との闘いだ。「周りからよく言われるのが“ライバルがほしいよね”ということ」、「それが2019年のテーマになってくる」と以前から語っていた宮原。野村からの挑戦表明を誰よりも喜んでいたのは王者自身だった。この新鮮な三冠戦を、ファンも支持した。セミファイナルで関本大介&岡林裕二vs諏訪魔&石川修司の世界タッグ選手権という黄金カードが組まれていたこともあるが、平日ながら超満員札止めとなったのだ。

 大型パワーファイターが揃ったド迫力のセミが凄まじい盛り上がりとなった直後の三冠戦。状況としては“ハードルが上がった”とも言えるわけだが、宮原と野村の闘いはそのハードルを完璧に超えてみせた。

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(リングを降りると観客と喜びを分かち合う宮原。ピープルズチャンプ感も魅力だ)

 三冠初挑戦ながら臆せずガムシャラに向かっていく野村。ショルダータックル一発にも全力がこめられていた。宮原は場外戦で主導権を握るなどインサイドワークで上回りつつ、その中で強烈な頭突きも繰り出す。30分近い激闘に終止符を打ったのは、宮原の必殺技シャットダウン・スープレックス・ホールド。ヒザ連打からジャーマン、逃れようとする野村を捕まえてのフィニッシュという流れは圧倒的だった。

 だが敗れた野村もギリギリのところまで王者を追い込み、“善戦”“健闘”という以上の内容を残したと言っていい。試合後の宮原も「いつチャンピオンになってもおかしくない。そんなことは分かってる」と野村の実力を認めている。その上で、勝敗を分けたポイントを「俺が時代を築いているというナルシストさ」だと宮原。“新時代の三冠戦”として期待されたこの試合だが、宮原は「新時代はジェイク・リー、野村直矢、青柳優馬のこと。俺は“宮原健斗時代”だから。俺はもうとっくに時代を築いてる」という言葉を残している。

 自分を“新時代”と一括りにしないことで、対立の図式を描いていこうという狙いもあるのだろう。それは宮原と野村、ジェイク、青柳の闘いが、これからの全日本マットの中心になっていくという宣言でもある。宮原は「もう俺から彼らの名前を出すことはない。てめえの力で上がってこい」というコメントも。名前を出すことで、ファンに向けて期待感を煽ることはもうしないというわけだ。つまり、これからはあくまでも同じ土俵での実力勝負。

 宮原vs野村が名勝負になったことで、全日本のシングル戦線は新たなフェイズに入ったと言える。そしてこのタイミングで、4月から伝統のシングルリーグ戦チャンピオン・カーニバルが開幕。軸となる王者・宮原にベテラン勢の逆襲、そこに“新時代”の台頭もある。それはおそらく、2020年代の全日本プロレスの姿を先取りする闘いだ。

文・橋本宗洋

(C)AbemaTV

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