”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃
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 テレビで見ない日はないお笑い芸人たち。ネタを披露したり、バラエティ番組に出演したりするだけでなく、報道番組のMCやコメンテーターとして時事問題を語ったり、小説や映画、俳優といった領域に進出したりと、活躍の場は多岐にわたっている。

 そんなマルチな活躍を見せるお笑い芸人たちは、「絵を描くの禁止」「ニュース番組には不要」「歌に起用したりするからダメなんだよ」と、批判の的にもなりがちだ。また、日本に1万人以上いると言われるお笑い芸人のうち、私たちがテレビで目にするのはごくわずかな人たちだという現実もある。

 4日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、お笑い芸人の今、そして未来について議論した。

■テレビには出なくなっても、YouTuberとして家族を養えるまでに

 近頃では、あえてテレビを主戦場にしないという選択をした芸人もいる。そのうちの一人、はいじぃは、名物グルメや食レポの動画2000本以上をYouTubeにアップ、チャンネルの登録者数が61万人を超える芸人"YouTuber"だ。「食べに行ったラーメン屋さんでなんとなく撮ったのが最初かな。ネタみたいな動画はあまり視聴されないのに、急にラーメンの動画をやってみたら反応が良くて。これまでお笑いをやってて、こんなに反応を頂くことがなかった」。

 この日はいじぃが訪れたのは、刺身が食べ放題の飲食店。「キタ!どうする?もう1枚いく?乗せたいよね、やっぱりね」と、iPhone片手に1人で食レポ動画を撮影する。店側に撮影許可をもらうところから、編集まで全て一人でこなす。この動画も、アップから3日で再生回数は25万回を突破していた。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

 芸歴22年。ダウンタウンやとんねるずに憧れ、お笑い芸人を志したが、最近、"芸人"としての仕事は月に数回のライブのみ。テレビ番組への出演についても「思い出せないくらい昔。最後はどこのテレビ局に行ったのかも思い出せない(笑)」。

 「『お笑いでテッペン取る!』みたいな熱い気持ちは?」と聞くと、「"お笑いでてっぺんを取る"という気持ちも、今はもう本当にゼロ。テレビは"合わせにいくもの"。台本を見た時に"これ、あんまり得意じゃないのに""今日このメンバーと一緒か"と思うこともあった。それに比べて、YouTubeは"やりたいことを100%やっていい場所"。基本的に一人だし、コラボするにしても、やりやすい人とやるし、ストレスなく楽しい映像が撮れる。もちろん見ている人も、そっちの方が楽しく見られるだろうなと思う」。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

 芸人YouTuberとして動画をアップし始めてから5年。今や動画の広告収入は、家族を養えるまでの額になった。それでも舞台の仕事は続けるつもりだという。「月に何回かの舞台があるからビシッと締まる感じがして。自分が好きなネタや企画を作って、"見たい"というお客さんに見てもらうのが自分の中では楽しくて。そのお客さんに来てもらうためにYouTubeの活動ができたらいいかな。お笑いっていう活動がお金になるという気持ちは全くない」。

■お笑いを続けるためのアルバイトのつもりが、営業所長に抜擢され…

 「年収が30万円くらい。月収じゃなくて年収。しかも3万円もらえる月があれば、500円しかもらえない月もあった」。お笑いだけで食べていくのは厳しい、そう考え、8年前にアルバイトとして清掃会社に入ったパタパタママの木下貴信(芸歴23年)は、今や東京営業所所長にまで上り詰めている。現在は約200人の従業員の管理から採用面接、外回りの営業までこなす。仕事の比率は"9割所長で1割芸人"。ライブなどの活動は月に3、4日ほどだ。「最後にテレビにちゃんと出たのは…4年前くらい、テレビ東京さんの深夜の番組。そこから出た記憶はない」。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

 日の目を見ないお笑い芸人にとって、副業、アルバイトは生活の要だ。木下の下で働く従業員の3人に1人は芸人というが、今でも一生お笑い芸人として生きたいという熱い思いを持つ木下にとっても、アルバイトはあくまでお笑いを続けるためのものだった。「本当は芸人を続けるために副業をやっていたが、今は常に従業員の管理が頭にあって、ネタ合わせをしていても、そっちのことがよぎって心配したり。どっちが本業か分からない。でも、23年お笑いやっているのに、やっぱりまだ世に出てない。テレビとかで世間にある程度名前を知られるような芸人になりたい。まだ何もなしえてないからやめられない」。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

■"せやろがいおじさん"は「テレビだけではない、という感覚も」

 世間が言いにくいことをYouTubeで代弁、大きな話題を呼んだ"せやろがいおじさん"こと榎森耕助は「沖縄のお笑い大会にコンビで出場して4連覇するなど、結果は残していた。それでも全然食べていけなかった。なんとか芸人を続けたいということでYouTubeに手を出して、気がついたらふんどしで出ていた。僕はテレビで育った世代なので、テレビに出たいという気持ちはめちゃくちゃあるが、YouTubeやSNSで居場所を作ったので、テレビだけではないなという感覚もある。沖縄では芸人をやろうという人が減って、YouTuberになるという人の方が増えてしまっている」と話す。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

 インパルスの板倉俊之は「そもそも、ネタや芸をやってお金をもらう人が芸人だったはずが、今はテレビで活躍する人を総じて芸人と言っているから、テレビに出ていないと芸人ではない、みたいな感じになっている。お笑いタレントと芸人は別のものなのに、そこがはっきりしなくなっているし、"テレビにいつ出た?"という話になってしまう。テレビが基準だったっけ?思う。ドリフなどもそうだが、自分で考えたこと、ライブを電波に乗せてそのままできる人、つまりテレビで芸人ができることがうらやましい。今は芸人として出るというわけではないものが多い」と話す。

”テレビよりもYouTube”…変化するお笑い芸人の今、せやろがいおじさん&カラテカ入江に直撃

 その上で、「芸人に"ライセンス剥奪"はないし、3年ネタを作らなかったら引退、というようなこともない。一度やったらずっと芸人だと言える。これからはいろいろなことをやって、芸人以外の肩書が増えていくだけだ」とした。

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 一方、コンサルティング会社を立ち上げているカラテカの入江慎也は「僕は(板倉も出演していた)『はねるのトびら』がうらやましくてしょうがなかった。テレビに出ているとモテる(笑)。5年前、どうやったらテレビに出られるかということで、カラテカ会議をした。その時に"この枠空いてるんじゃね"と思った。たまたま周りに社長さんがたくさんいたので助けて頂いて、会社を立ち上げた。それでのらりくらり、何とかやっている。だから副業は一つの武器。

 「飲んだ時に話をするが、吉本の場合、"ここは合わないかも"、"舞台じゃないかも"、"ロケの方が向いているかも"とか、みんなちょっとずつ諦めていって、勝てるところで戦っていると思う。でも、地方の年配の方々はテレビが全てなので、出ていないと"最近見ないね"と言われてしまう。テレビに出続けるのが一番難しい」。

■佐々木俊尚氏「テレビの中で空気を読みすぎるようになっている」

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「テレビ業界の人は、テレビの世界が全てだと思っていて、インターネットなど、外側に世界があることを知らない人が多い。スタジオはそういう空間を凝縮したような空気を感じる。それは制作スタッフが考える視聴者、お茶の間のイメージによって形成された、ある種の幻想だと思うし、そこから外れるものはなるべく出さないようにしようという圧力を感じる。逆に、インターネットは同調圧力を気にしないでバンバン喋って大丈夫な世界だ。ライブのステージとテレビが違うように、それぞれに向き・不向きや世界があって、それぞれに盛り上がるということだと思う。出版の世界も、同人誌を作ってコミケで販売して大きな売上を上げている人もいる。お笑い芸人も含めて、クリエイターは少数のファンとの繋がりを作ってビジネスをするのか、マスメディアを通じて広く浅くビジネスをするのか、という時代に来ている。もちろん両方やったほうが良いとは思うが、それぞれの戦略を立てていくのが大事になっていく」と指摘した上で、これからの芸人の役割について次のような見方を示す。

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 「色々なお笑い芸人と仕事をしてきて思うのは、コミュニケーション能力が異様に高い人たちだということ。空気の流れをサッと読んで制する感じ。これがテレビという場所にマッチしているんだと思う。90年代くらいからワイドショーや報道番組などにお笑いの芸人が一気になだれ込んできたのも、そういう理由ではないか。逆にいえば、今の芸人のスタジオの空気を読みすぎていると思う。ワイドショーでのコメントがなぜ面白くないかというと、空気を読みすぎて迎合したコメントしか言えなくなってしまうからだと思う。芸人のコミュ力のすごさを、空気を壊して切り込む方に進んでほしい」。

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 それぞれの芸人たちによる告白を受け、番組MCのふかわりょうは「芸人とされる人が突飛なことや奇をてらったことをやったところで面白くないこともある。それよりも、言わせたことを通訳したり膨らませたりするのも仕事だと思うし、自ら発信する必要がない場合もあると思う。ボケやツッコミだけでなく、面白さにはいろんなものがある。漫才やコントが面白い人はごまんといるが、テレビに出られる人は、何かしらのフィルターを抜けてきた人。入江さんの場合は生き様が面白いとおもうし、テレビはそういうものを求めがちだ。ただし、芸人側がテレビに合わせにいかないといけないので、その芸人の本来の面白さがテレビでは見られないという可能性もある。それでも全国の人たちに名刺を配ることにもなるというのがテレビのメリットだ」と指摘。「我々が若手の頃は、"最近見ないね"というのがすごく傷つく言葉だった。でも今の時代、その尺度が崩壊しかけているというだけに過ぎないと思う」と話していた。

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