俳優・谷原章介さん――。現在はクイズ番組などで司会進行を務めるなど、マルチタレントとして活躍している。そんな谷本さんは、社会人リーグ時代から追いかけるほど根っからのFC町田ゼルビアサポーター。可能な限りスタジアムで観戦するなど、芸能界で随一のゼルビア愛を持つ。
今回は、J1昇格に向けて戦う今季のゼルビアについて。サイバーエージェントが経営権を獲得した中で、さらに必要なこととは?
結果を出せば“J1”が見える
――今回はチームのお話をお伺いしたいのですが、4月7日に行われた首位のヴァンフォーレ甲府戦は先制しながらも1-1の引き分けに終わりました。惜しい試合でしたね。
でもやっといい感じになりましたね。80分までリードしていましたし、本当に惜しかったですね。ジョン・チュングン選手もすごく機能していました。最後の形まで持って行く回数は少なかったですが、うまくチームに絡んでいると思います。前線に活気が出ましたね。
――ジョン・チュングン選手のように、今季の注目選手はほかにもいらっしゃいますか?
初戦でゴールを決めてくれた(富樫)敬真選手ですね。本当に頑張って欲しい。鈴木孝司選手が出ていった分、敬真選手がしっかりと前線の顔として頑張ってもらいたいと思います。
――サッカーゲームでは富樫選手のようなプレーヤーはなかなか初期に取れない選手です。少しレベルが上の選手ですし、個人的に『ゼルビアが代表候補にもなった彼のような選手が選ぶチームになったんだな』少しと驚きを感じました。谷原さんから見て、富樫選手のようなプレーヤーが加入してくるようになったことはうれしいのではないですか?
去年からいろいろなことがありました。その1つとしてサイバーエージェントさんがサポートしてくださって、これまで動けていなかった(J1昇格のための)条件面の部分が進んでいます。その中で、今季は結果を出せばJ1が見えている状況です。
昨季までは結果を出しても届きませんでしたが、(チームとして)いい循環になったのかなという喜びがあります。ただ、今度はなかなか結果がついてきません。敬真選手のように素晴らしい選手が入ってきても、1人じゃダメなんだなと。
これはサッカーの難しさで、彼に渡すまでのボールの運びだったり、ほかの選手と彼との相性だったり。1つのパスの意識の問題なのか、一言では言えませんが、選手同士の親和性が高まるとゼルビアとしての結果が出てくると思っています。今は揺籃期(物事の発展する初期の段階)で、チームが1つになることを考えていると思います。それを試したのが前回の甲府戦で、内容にも出ていたのかなと思います。
――今のお話にも少し出てきましたが、改めて、ゼルビアが昇格するために必要なことはなんだとお考えですか?
勝利しかないですよ。現状でいえば勝利数に関しては上のチームとそれほど違いがありませんが、引き分けられたような試合で負けています。金沢戦のような1-6というぼろ負けの試合は置いておいて、1-0、1-1で競り負けたり同点に持ち込めなかったり、粘り切れなかったりしています。
その理由が、FWの選手が献身的に守備をしていないのか、ディフェンスの連係不足なのか……。様々な要因があると思いますが、そういう取りこぼしをしないように、チームとしての粘りを見せなければ順位を上げることは難しいと思っています。
――ごもっともな意見だと思います。そんな中、谷原さん自身は大好きなゼルビアの試合をスタジアムで観戦されていますか?
見ますよ! 甲府戦も行こうと思っていたのですが、娘の誕生日でいけませんでした。野津田の競技場は駅から離れている不便さがありますが、よくいえば空が開けていている、気持ちいいスタジアムですよ。
――天空のスタジアムのような印象ですよね。
そうそう。本当に空が綺麗で、その中で試合が観られる、選手たちも気持ちよくプレーができていると思います。
――すごくポジティブですね(笑)。
ポジティブに捉えるとそうですよね(笑)。空気もいいですから。だからこそ、もっとファミリー層を取り込むべきだと思っています。今もキッズパークのようなものを試みていますが、それが試合の時だけでなく朝から遊びに行けるような環境になればいいですよね。
朝から公園で遊んで、試合を見て、最後にキッズパークで遊ぶ。1日を野津田競技場で過ごしていただけるようなコンテンツがあるようなクラブになれば、もっと観客も増えて楽しんでもらえると思っています。
これからは花粉症もようやく終わりなので、おいしいお弁当を作ってピクニックして、公園で遊んだら「よし、ゼルビアの応援だ」ということもできると思います。
――つまりは、サッカーをあまり見たことがないような方たちにも、見にきてもらいたいという思いがあるんですね。
それが1番大事です。集客人数の目標を1万人に設定している中で、今は4000人ほどしか集客できていません。コアなファンは離れていなくても、集客の勢いには繋がっていないという印象です。サイバーエージェントがついてくださって、敬真選手が加入してくれました。でもそのいい流れがサポーターにまで循環できていないと思います。
自分の身の回りの人に「ゼルビアの試合おもしろいらしいよ」という人がいてくれれば、それに便乗して見に来てくれる人も出てくると思います。その分岐点まで、みんなで盛り上げていくことができれば、自ずと良い循環が出てくると思います。もともとサッカーが好きな人たちが集まった地域です。だからこれだけ多くのサッカー選手を輩出しているんですよ。
――一方で、最近ではネット観戦の環境も整い、家庭にいながら試合を見ることが可能になりました。谷原さん自身はネットで観戦することをどのように思われていますか?
個人的には、スタジアムに行けなくてもネットで見てもらえればいいと思っています。それにスタジアムでも、ネット観戦することで“自分リプレイ”ができるじゃないですか。
「あーっ!! 今見えなかったよー」なんてよくあることで、それをその場で再確認できるのは魅力です。確かに多少のタイムラグはあるんですけど、ゴールシーンなどは自分が見えない角度から撮ってくれています。それを見られるのはいいことだと思いますよ。
――谷原さんもお子さんと観戦されることが多いかもしれませんが、スタジアムで観戦をしているとちょっと何かをやっている隙にすぐに状況が変わってしまいますよね。
そうそう(笑)。ごちゃごちゃとしてて、あっという間に入ってしまうような(笑)。なので、家で見るだけでなく、スタジアムでもリプレイを見るものとして有効だと思いますね。
写真・厚地健太郎
文・川嶋正隆(SAL編集部)
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