日本時間の8日未明に行われた「Google I/O 2019」。テーマは「みんなのためにもっと役立つGoogleに」で、AppleのiPhoneに比べ廉価な新型スマートフォン「Pixel 3a」と「Pixel 3aXL」や、AIを活用した新サービスの構想などが発表された。
登壇したピチャイCEOは「我々は、あなたが答えを見つけることを助ける企業から、あなたが何かを成し遂げることを助ける企業にシフトする」「仕事、家庭、生活においても、一つのゴールを目指す。すなわちいかなる文脈でも助けとなる製品を生み出すために励む。全ての人々により利便をもたらすグーグルを目指す」と宣言。
「たとえば、旅行についての日程を組んで、リマインダー機能をセットし、レンタカーの予約が必要になったとする。あなたは「レンタカーを予約して」というだけ。すると自動的にあなたの代わりに旅行の日付やあなたの情報など必要事項を入力してくれる」と、アシスタント機能について説明。
さらに"全ての人に役立つ"を体現した、動画などの音声をリアルタイムにテキスト化する「Live Caption」のほか、リアルタイムで字幕にするや声を出せない人でもテキストで電話できる「Live Relay」、会話が困難なALS患者の意思を表情から読み取る「Project Euphonia」などが発表されている。ピチャイCEOは、言語に障害がある人が発する言葉のパターンや表情を学習し、テキスト化する技術も磨いていくといい、「私たちは話すことが困難な人や、脳卒中やALSによって影響を受けた人々を助けていきたい」とした。
ITジャーナリストの三上洋氏は「今回はAIをより身近にするというのがテーマ。例えば『Google Lens』では、撮影した写真の中の文字を翻訳するだけでなく、音声でも出してくれる。3Dの検索結果についても、百科事典を直接調べられるようなもの。今まで"筋肉"と入力すれば、関連するサイトの一覧が出てきたが、今度は筋肉構造のVRをそのまま出してくるというやり方だ。ウェブの検索とスマートフォンの個人データの蓄積も、AppleよりGoogleの方が多く、有利だ」と説明。
スマートニュース社の松浦シゲキ氏は、「インプットもテキストだけではなく、音声でもいいし、写真でもいい。目の動きすらもインプットデータになるなど、インとアウトが色んな表現方法でできるようになった。ここを追求し発表したのがすごい」とコメントした。
他方、Googleを含む「GAFA」(Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる巨大プラットフォーマーが世界中の人々の個人情報を必要以上に入手しているという批判を踏まえてか、プライバシー保護の機能を強化することで応えた。ピチャイCEOは「シークレットモードはChromeで一般的な機能となっている。これをGoogleマップにも適用する。これにより、検索履歴や位置情報などはアカウントにリンクされない」と説明している。
三上氏は「Googleはユーザーのデータ、ウェブのデータを握っているからこそ食っていけているので、それ自体は離さない。ただ、ヨーロッパではGDPR(EU一般データ保護規則)といって、個人データの扱いの規則がものすごく厳しくなった。そうした状況に応えなければならないということの一つの現れだ。プライバシーを守る方向にシフトチェンジし始めている。ところが中国のバイドゥ、テンセントなどはそんなこと気にせずに、国のオッケーをもらって情報をガーッと取っている。彼らのスピードはもっと速くなるだろう」と説明。松浦氏は「今までGoogleはアンドロイドというOSだけ提供していたのが、ハードウェア側も含めて一気通貫でやり始めている。Googleが全て握っているんだというのは、改めて認識してもいい」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶放送済み『AbemaPrime』は期間限定で無料配信中
■Pick Up