「個の戦闘力なら五分の勝負」“全身凶器の怪物くん”・鈴木博昭、ONEタイトル戦でムエタイのレジェンドに挑む
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5月10日に開催される「ONE Championship」バンコク大会『ONE:WARRIORS OF LIGHT』。そのメインイベントで“全身凶器の怪物くん”こと鈴木博昭がノンオー・ガイヤーンハーンダオ(タイ)の持つONEムエタイ王座に挑戦する。

総合格闘技と同軸でキック・ムエタイの精鋭が集うONEスーパーシリーズに“いち早く”日本を飛び出して参戦を表明した鈴木は、11月のデイヴィダス・ダニーラ(リトアニア)、1月のモハメド・ビン・マムード(マレーシア)との戦いに連勝して初代バンタム級王者となったムエタイのレジェンド、ノンオーへの挑戦権を得た。

「気候的には暑いですけど、この時期のタイには何度も来ているので『あぁ、こんな感じだったな』という程度です。(タイでは)朝から晩までONE Championship関連の仕事があるので、その合間に練習をして。その他は日本にいる時より、ゆったりとした時間が過ごせています」

タイトル戦に向けて程よい緊張感の中、既に現地で調整を行っているという鈴木選手に今回のタイトル戦へ向けた意気込み、さらに格闘家として現在の自身を取り巻く環境などについて話しを聞いた。

■シンプルにファイトで魅せる。今の人生が楽しい

― スーパーシリーズ参戦後は比較的タイトな試合スケジュールが続いているが

鈴木 僕はファイトマネーで生活しているので、この頻度でやるくらいが丁度いい。今までは大概のことを自分でやってきた分、現在のサポート体制は“考えられないくらい”に有難いですね。そんな中、自分ができることは全部やってきたんだろうな、という感覚はあるので、これまでの格闘人生の答えを出すつもりでタイトル戦に臨みます。

― 2戦に出場してみて感じた「ONE Championship」という舞台は?

鈴木 僕の夢見た世界があった、そんな感覚。細かいことを考えず、シンプルにファイトで魅せるしかない。まさに僕が望んでいた舞台。今が楽しくて仕方ないです。「戦うことが仕事」という感覚が、以前にも増して強くなりました。

― ONEのスーパーシリーズではオープンフィンガーグローブを着用して戦いますが、実際に戦ってみてどう感じている?

鈴木 緊張感があって僕は好きですね。もちろん、“一発の危険性”は今まで以上になりますが、掴むという部分では有利に働くこともある。ただ、あまり細かいことは気にせずに戦っています。

― ONEと従来のムエタイルールにおけるもっとも大きな違いは?

鈴木 ムエタイではちゃんとしたポイントの勝ちがあります。ONEでもあるのでしょうが、ONEではよりシンプルに「個の戦闘力」を競っているようなイメージがある。そのためONEでは、巧いムエタイ・ファイターが欧米人のパワーに屈するときもある。そういうのを目の当たりにすると、巧いとかだけじゃなくて、シンプルに戦闘力を競うイメージが強くなります。

■ノンオーも人間 「個の戦闘力」を競う意味では五分と五分

そんな鈴木選手の話を裏付けるように、先日行われたONEムエタイフライ級タイトルマッチでは、ムエタイの伝説的王者であるサムエー・ガイヤーンハーダオが、22歳の新鋭・ジョナサン・ハガティ(英国)に判定で敗れるという波乱が起きた。クリーンヒットや転がしよりも、ダメージを優先した打撃が判定でも優位に働くONEの採点システムでは、実績や名前だけでは勝ちきれない現実がある。そんな世界の名だたるビッグネームがひしめき、一筋縄ではいかないリーグに今、鈴木選手は身を置いている。

― 退路を断ってこの舞台に乗り込んだ今、格闘家として一番のモチベーションは

鈴木 各国でベルトを獲った選手が集まってくる世界なので、基本、強い選手しかいないんですけど、その中でも僕は『勝ち上がってやる』というモチベーションだけでやっている。ただファイトして、勝ち上がる。余計なことを考えている暇もないというか、自分のファイターとしての純度をいかに、どれだけ高められるか――。そこを一番に考えていますし、それができる舞台でもあります。

― 対戦相手のノンオー選手の印象は?

鈴木 ムエタイのコンプリートファイター。もちろん名前もあるし、チャンピオン・クラスというよりはレジェンド・クラスというイメージ。ただムエタイのレジェンドだけど、格上というよりは同じ人間という考えです。先ほども言ったように、「個の戦闘力」を競うONEの舞台では、五分五分の勝負だと思って挑みます。

― ONEに参戦して、今回がはじめてのケージとなるが

鈴木 (その点は)何も考えていません。むしろ、リングより戦闘に集中できるんじゃないかと。個人的にはケージの中の方が好きですね。

― ONE Championshipと日本の格闘界における昨今の“急接近”については、ある意味「予想外」の出来事だったとか?

鈴木 当初はこんなに日本と懇意になるとは思っておらず、(ONEとは)話を進めていたんです。海外の舞台で勝負したいと思っていて、東南アジアの選手と知り合う機会があって「海外の試合に出てみたい」という話をしたら、今に至ったという感じなので。ベラトールの「ベラトールキック」や中国の大きい団体、ヨーロッパにも色々あるんですけど、ONEにこだわっていたというよりは、「海外で勝負したい」という漠然とした考えが出発点。そんなときにONEスーパーシリーズというオープンフィンガーのキックの立ち技がはじまって「ああ、ここ出てみたいな」と。

― 去年の夏からは海外参戦に向けて公共施設でトレーニングをしたり、まさに「ゼロからのスタート」だった。選手としてもBELLWOOD FIGHT TEAMの代表としても体制が整いつつある状況か?

鈴木 今は「どこを目指すか」が明確になっているので、とてもフレッシュな気持ちで戦えています。トレーナーがいて練習しているわけでなく、僕が代表でやってきたので、何かしらのモチベーションを掲げて頑張らないと駄目だったので。それまでも本気でやってましたけど、今はさらに環境はよくなった。仲間たちのおかげでサポートが良いので、チーム一丸として頑張れています。自分のポテンシャルは今、最大限に発揮できる状態なので、今回のタイトル戦は自分自身も楽しみです。

その他、自身のジムのオープン準備を始めた矢先にタイトル戦のオファーが舞い込んできたなどのエピソードも明かしてくれた鈴木選手。ジムオーナーとして指導者として、今後のビジョンについては「僕は格闘技で生活して、格闘技で人生をつくらせて貰っていますので、これからは格闘技を通じて"鈴木と絡んで良かったな”と思ってもらえる場所をつくり、僕自身もそう思ってもらえる人間になっていきたい」と語ってくれた。「個の戦闘力を競う」というONEの舞台で、日本の「怪物くん」がどれだけ躍動するか、今後に注目だ。

(C)AbemaTV

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「全身凶器の怪物くん」こと鈴木選手がタイトルに挑む!

5月10日(金) 20:30から中継「ONE Championship バンコク大会」

ONE Championship バンコク大会 | 無...
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5月10日にタイ・バンコクで開催されるONE Championship「WARRIORS OF LIGHT」をAbemaTVで生中継!! 日本からは鈴木博昭、徳留一樹、下石康太、佐藤将光の4名が参…