KOイメージは「青木vsマッハ」の名勝負 中原由貴、ONE2戦目でグラップリングの世界王者ゲイリー・トノンと激突
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5月17日に開催される「ONE Championship」シンガポール大会『ENTER THE DRAGON』で、中原由貴がONEでの第2戦目を迎える。2月のONE初参戦ではエミリオ・ウルティア(アメリカ)を左ストレートの“ワンパンチ”でTKO。鮮烈なデビューを飾り、今大会ではグラップリング界のビッグネームであるゲイリー・トノンが対戦相手となる。そんな中原は4月上旬からフランス・パリに飛び、入念な調整を続けている。

「今でもパリはデモの影響が残り、週末は封鎖されている通りがあったりという雰囲気。練習以外はやることが無いので、おかげさまで練習に集中できています」

そんな中原選手がONEでの2戦目に向けて取り組んできたこと。さらに対グラップラー対策に向け、インスピレーションとなりそうな師匠・桜井マッハ速人との“名勝負”を振り返り、交えつつ興味深い話を聞かせてくれた。

ー いつ頃からパリで試合前のキャンプを? またパリを練習拠点にした理由は

中原 4月頭から入っているので1カ月半になります。5月13日にパリから直でシンガポールに向います。もともとパリのジムのマネージメント会社と契約をしているのですが、僕はアジア圏の選手なので、(試合を組む)マネージメントが難しいときにはトレーニングキャンプも含めるといった契約形態をとったんです。欧州の選手は試合のマネージメントだけを投げる人もいますが、僕はONEの契約はマネージメントを通さずに取った経緯もあるので、そこを考慮してくれています。結局対戦相手が変更になりましたが、前の対戦相手が決まった際にコーチから「今回はビックチャンスだから日本の調整じゃなくて面倒を見させてほしい。勝たせてあげたいから」と申し出があり、信頼してこちらに来ることにしました。

ー どのようなキャンプ生活を過ごしているのか

中原 ほとんどこの1カ月は練習漬け。スパーリングは週2回あるんですけど、その日はダメージと疲労を理由に「それ以外のトレーニングはしちゃダメ」と言われるんです。日本だと出稽古先で打撃や投げ、組みも交えたスパーリングを4分~5分というイメージですが、こちらではインターバル1分で、1ラウンド6分をやりっぱなし。インターバルの1分が来るとコーチが次のメニューを説明して、オーバーしたときは時計をリセットして「行け!」と言われて……最初の1時間を終えると出し切った感じになり、残りの30分はヘロヘロ。練習後はコーチに「早く帰って寝ろ」と言われる。それ以外の日は朝にボクシング、夜はレスリング。それらの合間で試合に向けたコーチとのミット、フィジカル。キャンプ序盤は1日3回トレーニングを行う日も。体重の落ちなどを栄養士に相談しながらの激しいトレーニングだったので、デモの影響がなくても、そもそも週末はどこかに行く元気もなかった(笑)。

ー 日本とは異なるトレーニングへの意識で得た事は

中原 「休むのも仕事」と考えるようになりました。試合を前にスパーリングをガチガチやっていたら「帰れ、帰れ。もう大丈夫だから」と。日本にいると「これが仕事だから」とやみくもになりがちですが、こちらの選手はやる練習を終えたら帰る。他でフィジカルやボクシングを習っている選手もいますが、みんなボロボロになるまで練習はしない。今回のキャンプを通じて技術面でもベースアップすることができたと感じています。

ー 年末から試合に復帰して、今年ONE参戦2戦目。試合頻度も上がりコンディションは

中原 毎回悪くない仕上がりででき、身体のダメージは抜けています。1年ちょっと試合から遠ざかったせいでケツを叩かれているような感覚はあって。「あれ? こんなにハイペースで試合があったかな」という感じはしていますね。特に2月のONEは激戦だったので、3月の中くらいまで動きを制限されていました。そんな矢先、「さぁ、練習でも再会するか」というタイミングで次の試合のオファーが。身体に関しては、少し急いで仕上げてきた感じはあります。

ー 対戦相手がゲイリー・トノン選手に変更になったことで練習プランへの影響は?

中原 幸いなことに、フランスに来て間もなくの変更だったので修正はできています。僕の中では、どちらも組みに来る選手というイメージ。ビッグネームですし、モチベーションも下がりませんでした。ただ前にオファーされていた相手もかなり強い相手で「よっしゃ、やるぞ!」という気持ちだったので「僕のあのときのドキドキ感を返してくれ」という気持ちはあります(笑)。

ー トノン選手はグラップラーのイメージが非常に強い

中原 実は全く動画を見ないでイメージだけで練習してきて、自分に自信が持てたときに動画をチェックしました。グラップリング出身の選手なので、ゴリゴリのレスリング系のトップキープとは違い動いてくれるイメージ。空間を作ってからパスする印象なので、リスクを犯して戦えば自分の形も作れる。MMA以外で世界の限りなくトップにいる選手と肌を合わせた経験がないので、不安とワクワクが入り混じっていますね。

ー トノン選手は以前、ONEのグラップリングマッチで青木真也選手とも対戦しています。あの時はグラップリングルールのみだったので、少し状況は異なりますが

中原 僕としては「わぉ! あの青木選手がキメられちゃうんだ」という感じでした。青木選手はマラット・ガフロフに1本勝ちしているので、フェザー級でクリスチャン・リー選手もいますけど、トノンがONEのグラップリングの選手では世界一なのかなと。

ー 2月に1度出場してみて、ONE Championshipの大会の雰囲気は

中原 僕はああいうところで戦いたいと夢見てきて、初戦は実際行くとデカイ会場で、コーチとかにも「おまえ緊張するなよ」と言われましたが、緊張よりも楽しめました。試合は苦しかったですけど(笑)。

ー 話は変わりますが、師匠の桜井マッハ速人さんが先月、地元・龍ケ崎の市議会議員に当選されましたが、お話は?

中原 僕はパリにいたのでメッセージだけ「おめでとうございます」と送りました。日本にいる間も選挙活動の準備が忙しいようでお会いできなかったので。余談ですが、青木選手とマッハさんが2009年の『DREAM.8』でやった試合。僕は学生でテレビで観戦していましたが、いきなりマッハさんがテイクダウンされて。そのときに青木選手の土俵になったから「終わったな」と思ってチャンネルを変えちゃった(笑)。でも気になってチャンネルを戻したらマッハさんがKO勝ちをしていたんです。グランド膝からのパウンドで。今回の試合でも、そんな感じは「あるな」とは思っています。あの試合は印象が強く、今でも忘れられません。だから師匠に続いて、世界のグラップラーを倒したいと思っています。

― 最後に意気込みを

中原 僕のキャリアで一番の挑戦になります。相手が未知数なので準備したことがどこまで出せるかわかりませんが、出せれば勝てる練習はしてきました。判定とかはなしで、KO狙いで行きます。

(C)AbemaTV

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