(アントンおよび瞑想中だったYogiたちの攻撃にさらされる彰人。常に変則タッグマッチの状況が続いた)
今年上半期、DDTマットではEXTREME級タイトルの王座移動が相次いだ。試合ごとにチャンピオンがルールを決めることができるのが、このタイトルの特長。2月の両国国技館大会では、HARASHIMAが総合格闘家でもある青木真也から「お互いのプライドがルール」ルールでベルトを奪還。その後、HARASHIMAはマッスル坂井相手にファン公募ルール3本勝負で勝利したが、2度目の防衛戦で敗れることになった。
その相手が、HARASHIMAにとってEXTREME級戦線での最大のライバルとも言えるアントーニオ本多。HARASHIMAとアントンは過去に「目隠し乳隠しデスマッチ」で2度の激闘を展開している。
4.28後楽園ホール大会で行なわれた名勝負数え歌、そのルールは「パンティ☆ハント虎の子ロープデスマッチ」互いの手を虎の子ロープで繋いだ上、コスチュームの上からパンティを履いての闘いだ。相手のパンティを脱がせても勝利となるこの試合で、アントンはあまりにも危険な紐パンを着用。しかしそれは単なる飾りという高度なフェイントも見られた。
(フィニッシュは彰人のサソリ固め。限りなく“運”の要素が強い分、選手にとっては難しい試合だった)
結果、公衆の面前でパンティを脱がされたのはHARASHIMA。このタイトルでは「エモさ」とは違うプロレスを表現したいというアントンの戴冠で、王座戦線は新局面を迎えた。
5月25日の北沢タウンホール大会では、彰人がアントンに挑戦。ここでアントンが提示したのは「Yogi Yogiデスマッチ」。リング上で2人のヨギ、すなわちヨガ修行者が瞑想、その邪魔をしないように闘うという試合形式だ。もしヨギ(トランザム★ヒロシと小仲=ペールワン)にぶつかったりすると、怒りのあまり攻撃される危険があるという。
ヨガをやっている人間がそんなに怒りっぽくていいのかという疑問はさておき、試合は双方、ヨギに攻撃されつつ味方につけつつという展開。先の読めなさ、攻守の入れ替わりの激しさでは史上屈指と言える試合は、ヒロシの誤爆(?)から彰人がサソリ固めでギブアップを奪った。
(彰人に挑戦表明した朱崇花。彰人は挑戦即決定に難色を示したが…)
新王者・彰人は5年ぶりのEXTREME戴冠に感慨深げ。「このベルトは試合自体よりルールを考えるのが大変」と言うが「この5年間、次にベルトを巻いた時のためにルールを考えていたので」と、アイディアのストックもあるようだ。
EXTREMEのルール設定には、ハードコアマッチ、60分アイアンマンマッチなどハードさが目立つものと、今回のような“カオス系”、2つの両極端な流れがある。「5年前は特に遊びがなかったですけど、今は立場も違いますから。TPOに合わせていきたい」と彰人。カオス系の試合も期待したいところだ。
次の挑戦者に名乗りをあげたのは“ジェンダーレス・プロレスラー”朱崇花。DDTで男子選手に勝ち、同時進行で女子プロレスのリングでも活躍する選手だ。彰人vsアントンを見て、EXTREMEのベルト奪取を「チョロい」と言ってのけた強気の朱崇花。7月15日、大田区総合体育館での対戦で、王者・彰人がどんなルールを考えてくるか。ビッグマッチの中でも、とりわけDDTらしさが際立つ闘いになりそうだ。
写真/DDTプロレスリング