2018年、26歳だった松本吉弘(協会)は、最年少出場選手として「RTD」に初参戦。予選8人中6位でシーズンを終え「開幕から緊張して舞い上がってしまい、自分の力を存分に発揮できなかった」と後悔が残る初陣を経験した。
RTD2年目。「成長した自分を同じ姿で発揮できるかどうか」とあえて自分を戒めるため、昨年の開幕戦で着用したスーツとネクタイを身にまとった。
2018年の松本は「RTD」だけでなく「Mリーグ」にも渋谷ABEMASのメンバーとして参戦した。2000人を超えるプロ雀士たちも目標とする2つの大舞台で戦い、大きな経験と同時に屈辱も味わった。だからこそ「去年の敗戦も含めてかける思いは人一倍あります」と今年は期するものがある。
グループCの対戦相手はMリーグでも戦った佐々木寿人(連盟)と鈴木たろう(協会)、そして新規参戦のベテラン藤崎智(連盟)だ。まずは4回戦という短期決戦となるため「序盤のスタートダッシュが肝」と初戦からフルスロットルで戦う。
麻雀を始めた学生時代、対戦相手となる3人が出ていた対局番組を、視聴者として見ていた松本だが「名のある敵将軍を討ち取ることが自分にとってもステイタスになるし、そこでしびれる戦いをしてこそ自分の成長の糧になる」と受け止めている。
「視聴者の方も下克上となったほうが面白いと望んでいる部分もあると思うんです。松本はこの卓ではキツイだろうと思っている方も多いとは思うんですけど、勝って期待を裏切りたいですね」と真っ向勝負の構えだ。
今期から赤牌入りルールとなったRTD対策として「3人の対局映像は、クセも場面に合わせた打ち方も含め、じっくり見て研究してきた」と準備万端。その上でMリーグにおける自身の反省点を踏まえ、対戦相手をイメージし、さらにはトーナメント形式を想定して打ち込んできた。
松本の打ち筋といえば、自身の著書タイトルでもある「ベストバランス麻雀」だ。しかし松本は「普通に出来ることをやっているだけで、悪く言えば特徴の無い麻雀なんです。めちゃくちゃ攻めが強いとか、めちゃくちゃ守りが強いとか、めちゃくちゃ鳴くとか、めちゃくちゃリーチするとか、そういう人の特徴をいいとこ取りしただけ」と語る。
そして「緊張で顔が紅潮したり、手が震えたり、辛い表情だったり、嬉しそうな表情だったりと一喜一憂する様は、視聴者の気持ちに一番近い状態」と自分の打牌によって、視聴者に何かしら伝えることが出来れば、麻雀プロとしては至極の喜びだと思っている。
2013年に21歳でプロ入りしてから7年目。トッププロたちと堂々と渡り合える力と自信をつけ始めている松本は「キャリアが浅いからこそ、なりふり構わず、がむしゃらに。視聴者にとっての勇気になりたい」と原点回帰で昨年の雪辱を果たす。【福山純生(雀聖アワー)】
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆RTDトーナメント2019 2016年から3年に渡り行われてきた「RTDリーグ」から、トーナメント方式に変更。昨年行われた「RTDリーグ2018」の予選リーグ(WHITE・BLACK)の上位各6人、推薦枠として2人の計14人に加え、予選リーグ7位の2人と新規参戦2人の4人による入れ替え戦(サバイバルマッチ)から上位2人が本戦に進み、計16人で行われる。16人はA~Dの4グループに分かれ、半荘4回戦で対戦。トータル2位が準々決勝A(上位3人が準決勝進出)、同3位が準々決勝B(上位1人が準決勝進出)へ、同1位は準決勝(上位4人が決勝進出)に進む。主なルールは一発・裏ドラ・赤(各種1枚)あり、全自動卓による自動配牌のMリーグルール。
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