43歳で総合復帰も身体は“バキバキ” 秋山成勲「日本格闘界の規模縮小には寂しい気持ちも…ONEを韓国の若者の受け皿に」
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「休んでいる間はトレーニングしつつも、仕事に集中していました。その間、UFCとの契約はあっても、契約条件の中にあった韓国大会はずっと延期の状態が続いていたので、自分自身のモチベーションの低下要因になっていたのは間違いありません」

 6月15日(土)に行われるONE Championship上海大会『LEGENDARY QUEST』において、2015年11月のUFCでの公式戦以来となる4年ぶりの公式戦復帰、さらにONEでのデビュー戦に臨む秋山成勲。昨年末に発表されたONE参戦に関して「生きていく中で、すべてにおいてタイミングは大切。UFCで格闘人生を全うするつもりだったが、そんな折、『格闘代理戦争2nd』の話を頂き、そこで教え子のユン・チャンミンが優勝を果たしたことでONE Championshipとの契約を手にした。契約の場に付き添う過程で会長のチャトリと話す機会もあり、ONEに参戦することになった」と“タイミング”を強調する秋山。自身4年ぶりの公式戦復帰を果たす6・15には、そのユン・チャンミンをはじめ、彼と同様に『格闘代理戦争3rd』でONEへの扉を開いた平田樹の参戦も決定している。

 この数奇な巡り合わせを「何か意味があると思うし、互いにモチベーションが上がる」と素直に喜ぶ秋山は、格闘家としての集大成と位置付けるONEの舞台について「客観的に見て」と前置きをしたうえで「格闘技の新しいパイオニアになる可能性を秘めている」と話し、格闘技界の“起爆剤”として期待を寄せている。

 そんな秋山が15日に戦う相手は、若干23歳。秋山より20歳も年下のアギラン・タニ(マレーシア)だ。一回り以上も若い実力者との復帰戦を前に秋山は「正直不安だらけ。不安で仕方がない。闘えるのか、いい試合ができるのか、思い通りに身体が動くのか……年齢やブランクも考慮すると、今まで以上に不安が頭をよぎる」と本音を口にする。しかし、やるからには勝つしかない。そこは勝負師である秋山だけに「相手がどうのこうのよりも、闘いに向けて自分のポテンシャルを上げていくことが大切」と前を向く。

 もう一度だけ気持ちを奮い立たせるうえでは、父の「何でも挑戦しろ」という言葉が背中を押したとも秋山は続ける。

「正直、このままフェードアウトしても食っていくには困らないんです。お金だけど、お金じゃない。もちろんお金は必要だけど、お金は自分の勝ちを決める単なる数字にすぎない。今回の復帰を父親が言う『挑戦』といえばそうなるけど、偉業を達成した人は一様に挑戦を続けているし、だからこそ光っていてカッコいい。新しくこの年齢で挑戦することは大きなモチベーションになっている。そのことを他の人がどう思うかは分からないし、ただの自己満足になるかもしれないが、それでもいいんです。年齢に抗っていくのも1つあるし大切なことではあるけど、自分は加齢という自然の流れを受け入れたうえで、次に進んだ方が、人として上手く流れていくと感じています」

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 4年ぶりの復帰戦を前に、秋山にはある感情も芽生えている。それが「感謝」だ。

「こうしてまた試合ができるということで感謝の気持ちがいっぱいです。親にはもちろん、この舞台を作ってくれたONEにも感謝。そして最終的には試合を受けてくれたタニ選手に対しても感謝しています。だって、逆に自分が23歳で対戦相手が43歳だったら『なんだよ、オッサンかよ』って絶対に言いますもん(笑)」

 今後さらにONEがアジアや韓国を攻めていく上で、そのエリアのリクルーティングなどを担っていく旨をチャトリに伝えており、既に了承を得ていると話す秋山は「12月に韓国大会も予定されているので、選手として、またそれ以外でも自分ができることを精一杯、ONEには捧げていきたい」と復帰戦、さらにその先を見据えている。

 この先ONEに携わっていく上で目指すゴールについても「格闘技が“海のものとも山のものとも”ではなく、スポーツとして、エンターテインメントとして、多くの人に認知されること。そして日本で、さらにアジアで、ONEが毎週のようにテレビ放映されるようなったら嬉しい。そのためにアイコンとなる存在になりたい」と明確なビジョンを持っている。

 一人の選手としてだけではなく、より俯瞰的な視野で格闘界を見つめる秋山にとっては気になることが二つある。それは、自身が関わりの深い日本と韓国の格闘界の未来だ。

「自分が日本を離れてUFCで闘っているとき、UFCは格闘家の誰もが目指したい団体になった。一方の日本はK-1やPRIDE、DREAMなどがあった時よりも規模が縮小され、正直寂しい気持ちがあった。仮にUFCだけが一人勝ちをしても意味はなく、世界的に、世界中で格闘技が盛り上がらないとスポーツとしてはダメ。各団体、皆が手に手を取って、格闘技を盛り上げようというスタンスに立たなければならない。また韓国にもROAD FCという総合格闘技団体はあるが、レベルは高い一方、ファイトマネーがとにかく安い。『選手は何をモチベーションに日々頑張っているのか?』と疑問に思ってしまうほどです。選手ごとに契約状況は異なると思いますが、そういったことを踏まえながら、ONEが彼らの受け皿となるよう役割を担っていきたいですね」

(C)AbemaTV

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