「カメラと被写体である自分の関係性というのを、どんな人よりも分かっている」「日本のトップアイドルであると同時にトップ俳優だった」ーー『凶悪』『孤狼の血』などで知られ、現代社会に刃を突き立てるような作風で日本映画界で異彩を放つ名匠・白石和彌監督がそう評するのは、俳優・香取慎吾だ。
アイドルだったこれまでのイメージから一新。香取が白石監督と初タッグを組んだ『凪待ち』(6月28日公開)で演じたのは、恋人を殺され人生どん底まで堕ちてしまうギャンブル依存症の男・郁男。ノーメイクで殴られまくり、目をそらしたくなるほど痛々しい姿で、不条理な現実だけでなく大切な人たちからも逃げてしまう、心の弱い男を熱演する。白石監督は香取をなぜ郁男役に抜擢したのか。そして現場で衝撃を受けた香取の姿とはーー。公開を直前に控えた2人に話を聞いてきた。