20日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』に出演した橋下徹氏とゲストの田原総一朗氏が、来る参院選を前に野党とメディアの問題について語り合った。まず橋下氏が「野党が弱いのは田原さんのせいだと思っています(笑)」と大胆に切り出し、田原氏が「橋下さんのせいだよ」と応じるところから議論はスタートした。
橋下:僕の責任もありますよ。ただ、田原さんが総理をガンガン追及して失脚させていた頃というのは自民党が"万年与党"で、また新しい総理が自民党の中から出てくる時代だった。それが今は野党を強くしないといけない時代。それなのに、政治評論家と言われる人たちは誰と誰が飯を食ったとか、あの自民党の重鎮がこんなことを話していたとか、そんなんばっかり。田崎史郎、鈴木哲夫、伊藤惇夫、あのグループ(笑)。そういう、しょうもない噂話じゃなくて、内政から外交まで、国民が求めている方向性を伝えるのがメディアの役割。もっと頑張ってよと思う。やっぱり野党って、そういう政治批評を見ながら、どっちの方向に行ったら支持率が上がるだろうと考える。でも、今の政治批評は与党を責めるばかりで、野党がどういう価値観を持つべきなのかというアドバイスがない。だから与党も緊張感がない。
田原:僕は枝野のことは強くしないといけないと思っている。だから「なんだかんだ言って、日本は日米同盟だ。アメリカ行け」と言った。アメリカにも中国にも行っていなかったから。去年やっとアメリカ行った。そして去年の末には「安全保障はともかく、経済政策はアベノミクスの批判だけじゃなくて対案作れよ」と言った。そうしたら「田原さん、自分たちと一緒に考えてくれる学者を見つけました」と言って、3月から勉強会も始めた。僕もその学者に会った。枝野と長妻に「いいよ、これでやれ」と。
橋下:新聞も安倍政権を打倒するために色々な問題点を書くけど、じゃあどんな方向性が良いのかは言わない。たまに出すものは、国民が全然付いてこないよ、というようなことばかり。
田原:朝日、毎日、東京の幹部、みんな普天間を辺野古に移すのは反対だと言うけれど、どうすればいいのかは全く言わない。
橋下:県民投票の結果が出たから反対だと言う。でも今の段階は辺野古しか案がないんだから、朝日も毎日も反対って言うんだったら、どこに作ったらいいのか具体的に言ってよと思う。でもそれを言ったら、その地域での購読者が減るから言わない。使用済み核燃料の最終処分場も問題だと言うけれど、どこ作るかは言わない。僕が維新時代に言っていたのは、大阪都構想の住民投票で勝ったら、使用済み核燃料の候補地として大阪が手を挙げようと。同時に、維新の会所属の国会議員は自分たちの地元に最終処分場を作ってもいいですよと言わないと公認出さないよ。誰かやんなきゃいけないことなんだから。その後で、大阪や議員たちの地元が建設に適しているかどうか、政府に考えてもらう。今の維新がどうなのかわからないけれど、野党はそういう新しいことを言わないといけない。
とにかく大阪では、「反維新」で自民党・公明党から共産党まで手を組んだけど、結局はビジョンがなければ負ける。それははっきりしているのに、国政でもそうなっているのが野党。彼らは「反対ばかりではない、我々もビジョンを出している」と言うけど、メディアで1回や2回発信するだけで国民に伝わるわけがない。繰り返し繰り返し、しつこく言わないと。
僕は同性婚とかLGBTの問題とか、そういうものをもっと認めていく方向に行きましょう、差別の原因になっていた昔ながらの戸籍制度はやめて、新しい戸籍制度を作りましょうとか、新しい価値観をどんどん発信していっている。
田原:そこが問題。橋下さんは発信してるんだけど、今の日本維新の会のどうししようもない。
橋下:僕は右か左かに分けるのは嫌いだけど、今の日本維新の会はかなり右寄りの感じがする。でも、今までの価値観は自民党に任せて、令和の時代は新しい価値観でいきたいというのが僕の考え。だから日本維新の会とは考え方が違う。
田原:自民党にただ寄り添っているだけで、オリジナリティが感じられない。
橋下:オリジナリティを出そうとはしているけれど…。
田原:野党で政権奪取するには、あとは小沢しかいないが、枝野とは仲が悪かった。去年の春、とにかく会おうと、3人で3回くらい会った。「仲良くなれ、組めよ」と。そしたら小沢が夏を過ぎたころ「来年は参議院選挙あるから、野党一本化しよう」と言ってきた。枝野は嫌だ。だから小沢は仕方なく、玉木と組んだ。
橋下:その一本化のプロセスとして、国会議員だけでやっていても有権者は付いてこない。Twitterでもつぶやいたけど、予備選くらいやって、野党の間でも大バトルして…
田原:そんなことしてても意味ない。政界復帰して、維新の代表になって、やんなきゃ。それやらないのは無責任。でも「復帰しない」って言うの。
橋下:僕は田原さんの後を継ぐ評論家の方でやってこうかなって(笑)。
田原:それはずるい!僕は政界は嫌だけどね。政治の世界は織田信長の時代から、勝つか負けるかなんだよ、結局。
橋下:それで人に薦めるのはおかしいじゃないですか(笑)。僕も無理です。あの世界は特殊だから。
田原:「政治家は我慢しないといけない。俺は我慢が嫌いだ」と言うんだ。
橋下:それともう一つ、仲間をつくることができないから。僕は目標を立てて、そこに向かってあの手この手で実行していく、そのプロセスや戦略を考えることには自信を持ってます。それこそ腹黒でどんどんやる。唯一できないのが、仲間をつくること。これが致命的欠陥。
田原:なんでだろうね?でも、同じく仲間づくりが下手な男がいる。石破茂。昔、石破は元々田中派で、田中を継いだのが額賀福志郎。ある時、額賀が僕に「田原さん、石破にね、若い者と飲みに行くように言ってくれ」と。言ったら、「勉強が大事です」って。
橋下:芸人さんの世界でもそうだけど、リーダーになるような人物って、飲んでるだけじゃそうならないし、仕事を与えたり、利益になることをするだけでも仲間にはならない。学者とか政治評論家は小難しいことを言うけど、仲間づくりって本当によくわからないし。教科書もないから難しいし。それを維新の中でやってたのが松井さん。
田原:仲間づくりは難しいね。小沢一郎もそうだ。福田内閣のとき、小沢が自民党と民主党で連立をしようした。福田はOKした。でも小沢は肝心の民主党を全然口説けなかったから。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)