27日、吉本興業はお笑いコンビ・スリムクラブの真栄田賢と内間政成を「無期限謹慎」の処分にすると発表した。
3年ほど前、知人を通じて飲食店オーナーの誕生パーティに参加し報酬を得たが、その場には「反社会的的勢力」も参加していたことが理由だという。本人たちにそうした認識はなかったというが、共同通信は、飲食店オーナーとされる人物が暴力団関係者だったと報じている。吉本興業は同日、すでに宮迫博之、田村亮らとともに「当面の間、謹慎」の処分を下していたお笑いコンビ・2700についても、同じパーティーに参加していたとして「無期限謹慎」に処分を変更している。
処分を受け、真栄田は「ファンの皆様、そして、僕と関係のある人たち全員に申し訳ない気持ちでいっぱいです。申し訳ございません。認識が甘く、このような形になってしまった事は、大変心苦しいです。謹慎して、その間に自分と向き合って、少しでも人の役に立てるよう頑張ります」、内間は「自分の認識の甘さが原因で、軽率な行動をとってしまい、誠に申し訳ございませんでした。この謹慎で自分と向き合い、自分の生き方を堂々と話せる人間になりたいと思います」とのコメントを発表。
また、吉本興業も「決意表明」と題する文書を発表、「長い芸能の歴史において反社会的勢力との関係が取りざたされたことは事実であり、このことは過去の当社においても例外ではなかったものと考える。しかしながら現在の吉本興業においてはあらゆる反社会的勢力との関係は一切有しておらず、今後も一切の関わりをもたないことを固く誓約・宣言する」とした。
同日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ・EXITのりんたろー。は「行かなければ自分の身を守れるとは思うが、できるだけ色んな人と写真を撮ったりして、答えたいという気持ちもある。どうすればいいのか…」、兼近大樹は「友達から"バイトの同僚や店長の飲み会に来てくれないか"みたいな感じでお呼びがかかることは多い。知り合いの知り合いならということで、仕方ないから行ってしまうこともある。やはり吉本からもらった仕事だけでは生活ができないから直営業に行っている面もあると思う。それができないとなると、切り詰めるしかないのかと思う。道端やご飯を食べている時に"一緒に写真を撮って下さい"と頼まれることもあるが、その相手がどんな人なのかはわからないし、後で"反社でした"と言われ、関わりがあったと言われてしまう可能性が出てきてしまう。芸人になって毎年2回ほど研修を受けてきたが、どういう人が反社なのかはわからないので難しい」と心境を吐露。
フリーアナウンサーの柴田阿弥も「私も友人の結婚式の司会を受けることもあるが、新郎や相手方の出席者がどんな人たちなのか、細かくは聞けない。もちろんそういう人たちからお金を受け取るのが良くないということはわかるが、過去にさかのぼって"その結婚式に反社の人がいました、アウトです"、と言われてしまうと思うと、もうそういう依頼は断らないといけないのかなと…」、慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「お金持ちの社長みたいな人がモデルの卵みたいな子たちを集めて"いい出会いがあるかもよ"みたいな感じで知り合いを呼ぶようなパターンもあると思うし、VIPルームがそういうので盛り上がっている様子を垣間見たことがあるけど…あれは夢だったのかな(笑)」と話す。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「僕は90年代、暴力団対策新法制定の頃に暴力団の取材をしていたが、指定暴力団にされると困るからと、地下に潜ってしまう問題もあったし、"反社会的勢力"の定義がよく分からないという問題もある」と指摘する。
「実は警察の人たちも境界線を明確に定義しきれておらず、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団といった具合に、"ざっくり言うとこの辺の人たちだ"と言っている。『闇金ウシジマくん』の主人公のウサギの世話をしてお金をもらったら、それは反社会的勢力と付き合あったことになるのだろうか。何らかの団体に所属しているなら分かるが、過去に振り込め詐欺で捕まった人だったらどっちになるのだろうか。明確に暴力団のバッジを付け、名刺を持っている人であればわかりやすいが、例えば関東連合のように"半グレ"と言われる存在や、振り込め詐欺グループ、反社会的な行動をしている人、闇金など、いわば境界線上の人たちもいっぱいいる。見た目はいかにもやくざだけど普通の社長さんだっているし、スリムクラブが相手の顔を知っていたとすれば別だが、パーティーに反社の人がいたかどうかなんて、見た目で判断できないだろう」。
『実話ナックルズ』の元編集長で、現在は『TABLO』の編集長を務める久田将義氏は「歴史上、興行とヤクザの世界はずっと結びついてきた。それが今も続いているということで、前回は11人、今回さらに2人が処分されてしまった。大問題だと思うし、吉本興業は島田紳助さんが引退して以降、何も学んでいなかったのか、という気がしないでもない。大阪府警も非常に注視すると思うし、第4弾、第5弾というのもあるのではないかと思っている。スリムクラブは他の事務所に所属する芸人を通じパーティに参加していたということだが、その芸人は実質的にカラテカの入江さんと同じことをやっているので、もちろん咎められることになると思うし、仮に金銭の授受もあったとなれば、暴排条例にひっかかる可能性もある」と話す。
その上で「佐々木さんのおっしゃる通りで、公安委員会の指定した指定暴力団以外にも反社会的勢力というのはいる。警察庁が2013年、暴走族OBからなる関東連合などの"半グレ"を"準暴力団"と定義したが、東京、神奈川、千葉、大阪ではそういう人たちが"やっていることはヤクザ"という状態で活動をしている。見た目も普通の体育会系の明るいお兄ちゃんだったりするし、名刺交換をすると企業の社長だったりするので、素人では判別がつかないと思うし、取締りも非常に難しい。暴排条例制定以降、謝礼を渡してはいけないということで、ヤクザ雑誌はなくなっていった。僕も準暴力団に取材する場合、飲食代は必ず割り勘にしている。かつて僕が取材した警察幹部は"暴排条例で日本からヤクザはいなくなる"と言っていたが、結局は名前に変えて生き残っている。もちろんなくなった方がいいけれど、そういう存在とどう付き合ったらいいのか、どう避けていけばいいのかということを考える必要がある」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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