私たちが生きる上で欠かせない食。美味しいもののためならお金を惜しまない人もいるが、食料自給率の低下やフードロスも叫ばれる今、"食事をやめた人"もいる。
東京大学を卒業、大手IT企業に勤務するエリートサラリーマンの笠原元輝さん(30)は、普通の人のような食事はもう1年間とっていないという。多忙を極める生活の中、効率を求めてたどり着いたのが、食事をやめるという生活スタイルだった。「食事をしないので周りからは変だなと思われているが、最終的に出てくるアウトプットは大便だ。食事にお金を使うということは、いくらでうんこを買っているのかという話になる。"おいしい"と思う感情もあるが、限られた予算の中で、ひとときの感情のために使いたくはない。もっと有益なことにお金を使いたい」。
学生時代、家計のことを考える中で「過程よりも結果を大事にするようになった。3食コーンフレークを食べていた」と話す笠原さん。その思考の行き着いた先が、「完全食」だけを摂取する暮らしだった。1日に必要な栄養をパンや麺、粉末タイプのドリンクなど様々な完全食から補給している。粉末ドリンクともなれば、1食あたりの食事時間はわずか12秒ほどだ。「これで十分に生きていける。このおかげで、自分のやりたいことに時間を多く割ける。そのための最適な手段だ。結構腹持ちをするので、お腹が減ったりもしない。噛むのを止めたから、顎が細くなってきた。ほとんど痩せていないし、風邪もひかないし、健康面の異常が起きたことはない」。
実はこの完全食、2019年の「上半期ヒット商品番付」に選出されてもいる。忙しいビジネスマンを中心に各国で注目を集めており、とにかく時間を短縮したいという人向けに、ドリンク、グミなどの「COMP」「Huel」という商品もある一方、食事を食事として楽しみたい人向けには、ベースフード株式会社が手がけた「ベースブレッド」「ベースヌードル」という麺・パンといった主食の完全食もある。ベースフードの橋本舜社長は「完全栄養の主食は弊社が2年前に初めて作った。日本の厳しい消費者の方に受け入れられるものを作れば、世界に求められる、貢献できるプロダクトになると思っていて、それをアメリカという市場で証明したい」と意気込む。
睡眠は6時間取り、勉強することが楽しみだと話す笠原さん。「食事を楽しんでいる人のことをバカだとは思わないが、時間をかけて何をしているんだろうなと(笑)。僕もデートの時とかは出されたものを食べる。でも、自分の意思では食べようとは思わないし、バースデーケーキはちょっと重いですね(笑)」と明かす一方、「食事に関しては過去を振り返っても無駄だとしか思わない。合理化することで、やりたいことだけができるようになる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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