”やることと、倒れる人が増えていく”長時間労働に英語・プログラミングも必修化…教師たちの悲痛な叫び

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”やることと、倒れる人が増えていく”長時間労働に英語・プログラミングも必修化…教師たちの悲痛な叫び
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 令和の時代を迎え、長時間労働をなくし、公正な待遇で働けることをめざす「働き方改革関連法」が施行された。しかし、そうした変化とは無縁の環境で働くことを余儀なくされているのが、公立学校の教師たちだ。

 ネット上には、「採用から20数年、ずっと長時間労働。うつ病を患いながら。10年以上勤務」「週休0日で365日ほぼ休み無しで働くのを当たり前だと思うな!!」「最近は昼ご飯も食べられず、そのまま持って帰ってくる毎日」「休憩ゼロ時間ってパワハラだよね」「職員室で管理職が倒れた。明日は我が身」「1日20時間ほど働くなんてざら」「朝8時前から16時過ぎまで休憩なしで授業」といった告白も相次いでいる。

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 実際、文部科学省の調査によると、残業時間がいわゆる"過労死ライン"とされる月80時間を超える教員は小学校で34%。中学校では58%にも及んでいる。それだけではない。教員という業務の"特殊性"を理由に、手当として基本給の4%が支払われる代わりに時間外手当が支給されない「給特法」によって、いわば"定額働かされ放題"の状態が続いているのだ。

 名古屋大学大学院の内田良准教授(教育社会学者)は「小学校の先生は学校に11時間以上いて、休憩時間は1、2分。小学校の場合には学校行事、中学校の場合は部活動があり、それ以外にもいじめや不登校、アレルギー、特別支援の対応など、仕事は山ほどある状況だ。一方、私立校や国立校には労基法が適用されるが、公立校では給特法が適用されるため、残業代が支払われないというか、残業をしていない、という体裁になっている。もちろん教職員組合も頑張ってはいるが、"長時間働いてこそ先生だ"というような、むしろそれを美談として扱うような文化があったことも背景にはある」と話す。

 3日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、現役教員を交え、現場の悲痛な叫びについて考えた。

■「このまま先生になっていいのかと考える教育学部生も」

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 中部地方の公立小2年生の担任をしている丸山瞬さんのある日のスケジュールを見てみると、7時45分に出勤、16時45分の勤務終了時刻を過ぎても事務作業・授業準備で残り、退勤は19時だった。「授業を終え、子どもたちが帰った後に別の仕事が始まるが、その雑務が一番辛い。やっぱり行事が近くなると、勤務時間はかなり伸びてしまう」。

 授業以外の業務には、PTA会費・教材費・給食費の入金伝票入力、集金、福利厚生会回覧資料作成、運動会準備、花の水やり、運動会の演技図作成、運動場のライン引き、畑の管理、プール出校などが挙げられるという。丸山さんは「2年生では植物を育てるということが単元としてあるので、授業のためにも植物の管理は本務になる。野菜に関しても、収穫の喜びを味わうというのが大きなテーマなので同様。こういうところが難しい」と話す。

 「断っても何もないと言えば何もないが、やっぱり職場の関係がギスギスするので、断りきれない。僕の自治体では小学校で部活動の指導は全て担任がやっている。初任の時に断ったことがあるが、結局は誰かがやらないといけないし、それは若手にしわ寄せとなってくる」。

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 その上で丸山さんは「僕が他の教師と違うところは、労働環境がおかしいことにも気がついていたので、採用試験に受かったら学校の働き方改革をしよう、学校を変えようというモチベーションがあったこと。今は誰でもできる学校の働き方改革"学校の5S"というものを考えて発信している。有名なトヨタの5Sは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」だが、僕の5Sは最後のしつけが"仕組み"や"習慣"。誰にも言われていないのに残業をしてしまうのは、職場の雰囲気が原因。だから雰囲気を変えようと考えた。結果、校長先生とも仲良くなり、同僚とのケンカも無くなった。みんなで話し合って、部活動の顧問の仕事を少人数でも回せるようにして、赤ちゃんが生まれた同僚や教員採用試験を控えている講師の方は外れることができた。僕も3年目にして外れた」と明かし、「労働安全衛生の価値を上げることが重要だ」と訴える。

 「教育学部にいる学生の中にも、このまま先生になっていいのかと考える人たちが増えてきた。教員採用試験の倍率も、また下がってくると思う。学校で働く先生たちの安全と健康をまず第一に考えるようになれば、休憩時間に働かせたりすることもなくなるし、"それはダメだよ"と言い合える。働き過ぎにブレーキをかけられるよう、自分たちでできることも多いと思っている」。

■「学習指導要領から"部活動は学校教育の一貫である"という記述を外してほしい」

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 また、中部地方の公立高で2年生の担任をしている斉藤ひでみさんは、普段から教育現場の問題を積極的に発信している。(「斉藤ひでみ」の名はこの時に使っているペンネーム)。

 「大学時代は授業作りが本務だと勉強し、そして教壇に立つ。でも学校現場に入ったら、一切教わっていない仕事もたくさんある。やはり断り辛いし、何でも屋みたいになってしまう。初任校として配属されたのが定時制高校だったが、午後10時、11時くらいまでは何かしらの業務が毎日あって、忙しい時には午前2時、3時まで学校にいる。土日も授業準備を12時間くらいしている生活なので、休みが全くなかった。部活も2つ掛け持ちしたりしていた」。

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 それでも斉藤さんは「小学校に人材を」と話す。「教育予算に限りがあるとしたら、まずは小学校を手厚くして頂きたい。中学校、高校は部活動の問題を改善していけば働き方はホワイトになっていく可能性があると思う。非常に簡単なことで、学習指導要領から"部活動は学校教育の一貫である"という記述を外すだけで"部活動は教員の仕事ではない"というふうになり、様々な改革が進んでいくと思う」。

■来年度からは英語、プログラミングも…「やることと、倒れる人が増えていく」

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 2人の話を受け、パックンは「免許もあるくらい専門的なことを要求しているのに、事務的な仕事や力仕事をするのはおかしいと思う。僕の母親は教師で、父親は校長もしていたが、アメリカでは教師はプロフェッショナル、専門家として扱われている。弁護士や医師と同じだと思う」とコメント、ジャーナリストの堀潤氏も「僕は何度も転校をしたので苦労した。ある時、新人として赴任してきた先生がほぼ僕のためにテニス部の顧問になってくれ、一生懸命、絵の指導もしてくれた。その先生がいてくれたから、僕は順調な学校生活を送ることができた。財源を手当しないというのは政治の不作為だ。文科省は現場の先生を大切にしてほしいし、ガチンコで予算を取ってきてほしい」と訴えた。

 番組には、「6時50分学校到着。7時10分には児童が教室に来始める。でも、勤務開始時刻は8時15分。児童が来る時間と勤務開始時刻に大きな隔たり」「友人の旦那さんは、中学校体育教師。生徒指導、行事運営、部活動指導(土日も)、事務処理、担任業務、授業の準備。毎日の帰宅時間21時~23時。運動会前は1時もあった」「土曜授業をやめてほしい。月曜日の振休もなく一週間の生活リズムが崩れて教員も子供も疲弊している。残業の抑制を言うなら土曜授業をなくせと思う」という投稿も次々と寄せられた。

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 そんな状況下にあって、文科省は科目を追加、来年度からは小学校で英語・道徳が新たな教科として導入され、プログラミングも必修化される。前出の内田准教授は「これから厳しい現実が待っていると思う」と指摘する。

 「すでにここ10年で学習指導要領は1.3~1.4倍くらいの量になっているのに、先生の数も予算も増えない。部活動指導員についても予算が付いているが、現場からすればまだまだ足りない。やることと、倒れる人が増えていく。そういう犠牲の上に日本の学校教育が成り立っているとしたら、どんな美談があったとしてもハッピーではない。だからいい人材も見つからない。みんな授業をしたいし、子どものことは好きだけれど、忙し過ぎて精神疾患になったり、教育実習に行った学生もこんな職場は嫌だと言う。これでは教育の質の保証という点でもまずい。そういう意味で、"持続可能な職員室作り"を考えていかないといけない。子どもたちが最初に出会う大人である先生たちが5時に帰れる大人だったら、社会全体の働き方も変わってくる」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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