助けを求めるメモを“シュレッダー”に…「男子生徒の転落死」で浮かび上がる教育現場の闇の底深さ
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「男子生徒が心配です。先生、力を貸してください」

 岐阜市で中学3年生の男子生徒がマンションから転落死したとみられる問題が発生した。この件に関連して5日、岐阜市教育委員会が会見を開き、いじめの存在を知らせるメモが他の生徒から担任教師に寄せられていたことを明らかにしたが、生徒の切実な願いを託した一枚のメモは、担当教諭によってシュレッダーにかけられ、男子生徒の命を救う助けにはならなかった。

 5月末、同級生の女子生徒がいじめの存在を紙に書き記し、担当の教師に訴えていた。そのメモには、男子生徒が複数の生徒から平手打ちをされたり、金銭を要求されたりするなどの具体的ないじめの内容を記したものだった。にもかかわらず、事態は動かなかった。担任教師は、該当する生徒に指導を行った後に「問題が解決した」と考え、メモをシュレッダーにかけて廃棄した可能性が高いという。メモの内容は学校内で共有されておらず、さらに先月実施された「困っている人はいるか?」という校内アンケートでは、死亡した生徒の名前が挙がっていたことも分かっている。

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 中学校の校長は「いじめられているという認識を持てなかったという危機意識の低さ、いじめに対する認識の低さというのが、大変残念であり、つらいこと。共有されていれば、防げた可能性は極めて高いと思う」と無念の言葉を語り、被害者や関係者、市民に対しても謝罪を口にしている。

 この件について、セイバーメトリクスの第一人者で統計学者でもある江戸川大学客員教授の鳥越規央氏(50)は、OECD(経済協力開発機構)の調査として日本の中学校教員の労働時間の長さに触れ「世界48カ国の中で長いというデータが出た。世界平均が38時間に対して、日本は56時間。圧倒的に中学校の先生の労働時間が長くなっている。先生の中にも様々いるが、優秀な先生の方に業務のシワ寄せが増えている。そのため本来は教科教育(数学なら数学、体育なら体育など)に専念しなければならないのに十分な研究時間がとれず、生徒指導も部活動もやらなければならない。一人の先生が生徒間のトラブルを面倒みられる時間は本当に少ない。教科教育に専念する先生とは別に、生徒間トラブルや生徒の悩みを解決する専任の先生を採用する必要がある」と持論を述べた。

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 するとお笑いタレントの千原ジュニアは「一人の中年の先生と生徒では、合う合わないという問題もある。子どもたちとしては、担任が7、8人いてくれないと困る。その中で会う人を選んだらいい」と応じた。

 鳥越氏は「担任制と教科担任制の弊害もある。現状、一つのクラスに二人の先生がいるケースが多いが、学年横断的に指導できる形をとってもいい」と語った。これを受け千原ジュニアは「(担任もクラスメイトも)合わへんかったら一年間地獄。吉本の良いところは、先輩がメチャクチャ多いから選ぶことができる」と話し、自らの経験を踏まえて選択肢を増やすことで解決できる問題もあると話した。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)

(C)AbemaTV

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メモの内容は校内で共有されず、無残にもシュレッダーにかけられた。。
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