(7月9日の会見ではベルトも披露。思いのほかちゃんとしたタイトルマッチなのだった)
「いつでもどこでも挑戦権」を使い、初開催のプールプロレスでKO-D無差別級王座に挑んだDDTの“大社長”高木三四郎だったが、予告なしの奇襲もむなしく王者・遠藤哲哉に敗北を喫した。
その結果、7月15日の大田区総合体育館大会で出番がなくなってしまう。ベルトを奪ってメインのタイトルマッチに出るつもりだったため、対戦カードを用意していなかったのだ。
とはいえ大田区大会はビッグマッチ。社長レスラーとして出ないわけにはいかない。実際の話「いろんな人を呼んじゃってる」という事情もある。そんなわけで急きょ、高木はスーパー・ササダンゴ・マシンとシングルマッチで対戦することになった。
DDTらしい“バラエティ系”のマッチメイクで、なおかつこの試合は新設されたO-40(オーバー40)タイトルの初代王座決定戦として行なわれる。これは文字通り40歳以上の選手、しかも全団体のレスラーに挑戦資格があるというものだ。気力、体力が衰えがちなベテランにとってのモチベーション向上、あるいはお互いを励まし合おうという意味合いもあってのタイトル制定である。
「プロレス界全体が若返っている中で、40以上の我々に何ができるのか。やるからには大会で一番目立つ試合にしたい」と高木は言う。
キャリアを積んだ選手にしかできない試合、高木とササダンゴにしかできない試合。それがテーマとなるわけだが、ササダンゴはもう一つの打ち出しも。世界的に知られる大物・TAJIRIの「三流発言」だ。
少し前、TAJIRIはツイッターで「笑わせるのは三流、学芸会レベル。泣かせるのは二流。一流は感動させ、人生を変える」という内容の書き込みをしていた。誰のことを出しているのかも分からない(だから余計に意図が分からない)ツイートであり、ファンや関係者も賛否両論。そんな中、ササダンゴはこれを「完全に高木さんのこと言ってますよ!」と解釈したらしい。
これは許せん……というわけで、この試合の敗者にはTAJIRIの当該ツイートを引用RTして物申すという罰ゲームが課されることになった。「あのツイート、触ったらヤケドしそうだから」とノータッチだった高木だが「見る人の人生変えます」と乗っかるようなコメントも。
これは対戦カード決定会見での“ネタ”かとも思われたが、それから2週間経っての大会直前会見でも「まだ謝罪も訂正もない。“高木三四郎・三流発言”を風化させるわけにはいかないでしょう!」とササダンゴ。
高木としては「あれ、俺のことなの?」という疑問も拭いきれないわけだが、とにかく決着はリングでつけるのがプロレスの流儀だ。どうやって決着をつけるのかは分からないが、それも含めてDDTだ。試合は逐次、武器(凶器)が投入されるウェポンランブル形式。もちろんササダンゴには「煽りパワポ」という武器もある。ネタと企みは紙一重。そもそも顔合わせからして、クセしかないような一戦である。予測不能という意味では、大田区大会の中でもこの試合が一番かもしれない。
文・橋本宗洋