国内最大級のプロアマ参加の麻雀大会「麻雀最強戦2019」のファイナル進出を目指す「男子プロ代表決定戦 天使の吐息」が7月13日に行われ、金子正輝(最高位戦)が悲願のファイナル初進出を決めた。63歳の大ベテランが、全21局・約2時間30分のロングゲームで大逆転のツモアガリ。直後には目を潤ませた。
百戦錬磨の大ベテランでさえ、裏ドラ表示牌をめくる手が震えた。長時間対局の大詰め、南4局1本場。トップ目の鈴木達也(協会)との差は1万6700点、逆転を目指し覚悟を決めてフリテンリーチを決断した。一発を鳴きで消されつつ、リーチ後3巡目、高目の3索をツモると、リーチ・ツモ・平和・タンヤオ・ドラ。そして願いを込めてめくった裏ドラ表示牌は五万。手元には六万が1枚。逆転の跳満ツモを成し遂げると、糸のように細い逆転へのゴールにたどりつき、金子の目には涙が光った。
麻雀最強戦では、1989年の第1回大会からの付き合いだ。所属する最高位戦日本プロ麻雀協会では、最高峰タイトルである最高位を4度獲得。その他、数々のタイトルを手にしながら、最強戦ではタイトル・最強位獲得どころか、ファイナル進出の経験もなし。この日も、オーラス突入時までトップ目だったにもかかわらず、ラス親の鈴木に逆転を許し、本人も「また今年もダメだと思った。オーラス負けても首位というのは何回かあるんですが、また逆転負けかと…」過去の忌まわしい記憶が呼び起こされていた。
今年こそは、思いを強く持って臨んだ対局で、ついにつかんだファイナルへの切符。 解説していた後輩で、現最強位・最高位の近藤誠一も「金子さんは最後、手が震えていましたね。久々に見ました。すごい思いだったと思いますよ。入場シーンから鬼気迫るものがありました」と、先輩の大激闘をねぎらった。
対局後、コメントを求められると「第1回から出させていただいているので、本当にうれしいです」と、飾らない言葉に喜びを詰め込んだ。次は夢にも見ただろう最高位への挑戦。顔をくしゃくしゃにして喜びに泣くのは、その時だ。
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