
(7.6真GUTS軍自主興行(王子)では石島&翔太&TORUのトリオがガンプロ勢に勝利。大家が“敵地”に乗り込んだ)
新木場1st RINGや板橋グリーンホール、王子ベースメント・モンスターといった小会場が主戦場となる、いわゆる“どインディー”シーンの中で、いま盛り上がりを見せているのがガンバレ☆プロレスと真GUTS軍の対抗戦だ。
ガンプロはDDT内のブランドとして、大家健が資金わずか15000円で旗揚げ。挫折、紆余曲折さまざまな経験をしたレスラーたちの(エリートにはない)人間模様が魅力だ。それでいてスローガンは「プロレスをメジャースポーツに」と威勢がいい。
ガッツ石島率いる真GUTS軍は、ガッツワールドを前身とするユニット。昨年春のガッツワールド解散後、石島たちは一時期HEAT-UPに所属していたが、今年になって石島、マスクドミステリーが独立し、真GUTS軍として活動している。こちらもスローガンは「インディー統一」とスケールが大きい。
それぞれの“大将”である大家と石島は、敵対しつつも波長というのかテンションの高さが見事に合致。毎回、好勝負を展開している。
闘いが激化する中、ガンプロ軍にはミス・モンゴルが加勢。7月17日のガンプロ新木場大会では、6人タッグ王座をかけて対戦することになった。
そのタイトルは、GWC6人タッグ王座。団体解散後、封印されていたガッツワールドのベルトだ。大家の要求で解禁となったが、真GUTS軍としては“お宝”を手放すわけにはいかない。
タイトルマッチの対戦カードは大家健&今成夢人&ミス・モンゴルvsガッツ石島&マスクド・ミステリー&翔太。ここでキーマンになりそうなのが翔太だ。 ガッツワールドに所属しながらガンプロにもレギュラー参戦していた翔太。ガッツ解散にともない、アメリカ遠征を経てガンプロ所属となった。そして真GUTS軍が結成されると、今度は古巣の仲間と組んでガンプロと敵対することに。対抗戦の中で大家からフォール勝ちした試合も。

(ガッツワールド純正メンバーとして王座戦に臨む翔太、石島、ミステリー(右から))
ガンプロ側から見れば“裏切り者”だが、本人は「現時点では真GUTS軍のメンバーと一緒にすごしてきた時間のほうが長いので。ナチュラルに闘えてますね」と言う。石島、ミステリーは体も大きく、ファイトスタイル的には“剛”タイプ。それだけに翔太のスピード、インサイドワークがより光る。
実は翔太が入団して以降、ガンプロの戦力は急激に増している。DNAから岩崎孝樹、DDTから石井慧介、さらにフリーだった元・修斗世界王者の勝村周一朗もガンプロ入り。今成夢人も“大家の右腕”からエースに成長した。そんな中で、自分なりの輝き方を模索してきたのが翔太だった。所属団体で古巣との対抗戦を仕掛け、自らは敵側に回るというスタンスは彼以外には不可能なものだ。
「今は自分らしくできてます。“こうしなきゃいけない”じゃなく、自分を解放してみたら自分がなりたかったレスラーにどんどんなれてるんですよ。自分の好きにやろうと思ったら、10年のキャリアでやってきたことが貯金になってるなってあらためて気づきました」
闘いのベースは大ファンであり、常に研究してきたアメリカンプロレス。そこに日本インディーのエッセンスも混ざり、“翔太スタイル”のプロレスが構築されている。基本技の見栄えのよさ、丸め込み技にレフェリーのブラインドをついてのトリッキーな攻撃など、引き出しの多さが翔太の強みだ。その“プロレス脳”には、古今東西、あらゆるフィニッシュのパターンがインプットされているのではないかと思われる。
厄介な敵として“身内”のガンプロに立ちはだかった翔太。これまでは名脇役として個性を発揮してきたが、この対抗戦では主役をかっさらう可能性も充分だ。
文・橋本宗洋
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