相馬監督への恩返し。苦境のチームを救えるのはベテラン・中島裕希のゴール
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 昨シーズン、最終節で勝てばJ2優勝という状況まで迫りながらもを4位で終えたFC町田ゼルビア。今シーズンこそはJ2優勝とJ1昇格を目標に『+1 すべては掴み取るために』のテーマのもと戦ってきたが、ここまでは苦しい戦いが続いている。

 前節、降格圏のアビスパ福岡を相手に0-2の敗戦を喫し、6勝7分け9敗の勝ち点25。21位の栃木FCとは勝ち点5差となり、残留争いに巻き込まれる状況となった。

 苦しい状況だが、J2はまだ後半戦に突入したばかり。特に夏場の激しい戦いが残っているだけに、もう一度浮上のきっかけさえつかめれば上位進出も見えてくる。こんな時だからこそ、頼りになるのはベテランの力。特に中島裕希には、やらなければいけない理由がある。

相馬監督への恩返し

 元日本代表柳沢敦と同じようにFW富山第一高から鹿島アントラーズに加入した中島。前線からの守備や、スピードと判断力を生かした裏への飛び出しを武器にルーキーイヤーから出場機会を手にした。

 その後、ベガルタ仙台、モンテディオ山形でもFWとして安定した活躍を見せていたが2015年に状況が変わった。31歳となった中島はJ1リーグで31試合に出場するも、シーズン終了後に契約満了を告げられたのだ。

 脂の乗った時期での契約満了――。どん底に突き落とされた中島を救ったのがゼルビアで指揮を執る相馬直樹監督だった。鹿島時代の2003年には一緒にプレーし、2013年には山形のヘッドコーチを務めるなど、中島と縁がある相馬監督。そんな指揮官が、J1昇格を目指して作り上げているチームに中島を加える決断をした。

 すると中島は移籍初年度の2016シーズンにキャリアハイとなる42試合14ゴールをマークするなど結果で応える。それから3シーズンにわたり2桁得点を記録するなど、今やゼルビアになくてはならない得点源となった。

 しかし今シーズンは、これまでのようにFWではなく左サイドでのプレーが多くなったことやケガの影響からか、18試合で1ゴールとチーム同様に元気がない。当然、チームの結果は中島1人の責任ではないが、中島だからこそゴールを求めてしまう。

 J2通算400試合出場を達成した福岡戦後、中島は「達成したことはうれしいですが、試合には負けています。試合に出ることが目的ではなくて、1試合1試合の結果にこだわってこれからもやっていきたいです」と闘志は消えていない。

 自身をどん底から引き上げてくれた相馬監督の恩に報いるためにも、中島のゴールで今度は相馬監督を救いたいところ。そして、福岡戦後に自身のチャントを歌い続けてくれたサポーターのためにも、ホーム2連戦を2連敗で終えてはいけない。

「次は勝利を届けたいと強く思っています」

次節の徳島ヴォルティス戦で中島の18試合ぶりのゴールに期待したい。

文・川嶋正隆(SAL編集部)

写真・森田直樹/アフロスポーツ

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