世界貿易機関(WTO)は24日、スイス・ジュネーヴで一般理事会を開き、日本の韓国に対する輸出規制を議論した。日韓の対立が浮き彫りになり、韓国は今後、WTOへの提訴も辞さない構えだ。
韓国に対する輸出管理の見直しについて、世耕経済産業大臣は24日、「韓国側のキャッチオール制度の法制上、大量破壊兵器とミサイルのみを対象としているわけで、通常兵器キャッチオールについての法的根拠が不明確だと考えざるを得ない」とコメントした。
世耕経産大臣が繰り返した「キャッチオール」とは、軍事転用の可能性がある品目への規制のこと。リスト規制品以外のものであっても、大量破壊兵器や通常兵器等の開発・製造・使用の恐れがあるものは輸出の許可申請が必要となる仕組みだ。
日本は「ホワイト国」と呼ばれる、輸出時に簡便な手続きを認める27カ国を定め、韓国はアジアで唯一含まれている。いま日本は韓国のキャッチオール規制が不十分として、ホワイト国から韓国を除外する動きを見せている。「韓国側の輸出管理制度について、事務レベルで電子メールを通じたやり取りを行ってきているが、法的根拠に関する詳細な説明は得られていない」と世耕経産大臣。
日本側の動きに対し、韓国の李洛淵首相は25日朝にコメント。「日本政府に言います。状態をこれ以上悪化させないで外交的な解決策を探そうと。もし日本が状況を更に悪化させるなら、思いがけぬ事態につながる恐れもある」とした。
ロイター通信は、「WTOでは韓国を支持する動きがなく、韓国は支持を取り付けることに失敗した」と報じているが、東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏は「韓国としては、日本と2カ国間でうまくいかないのであれば国際社会に訴えるという選択肢をとる。ただ、WTOでも他の国々から意見が出なかったということで、基本的には韓国を積極的に支持するという声は強くなかった。韓国はアメリカにも積極的に働きかけを行っているが、これもあまり効いていない。駐米韓国大使は記者会見で『日本はアメリカに対して事前準備をしていたようだ』と発言していて、これは韓国の説得が思うように行っていないことを示すものだ」と述べる。
日韓関係の悪化が懸念される中、ではどのようなところが落とし所になるのか。佐藤氏は「日本政府がいくら徴用工問題に対する対抗措置ではないと言っても、海外報道ではなお対抗措置とする観測が一般的。しかし、それを重ねて否定し続けている以上、韓国側の輸出管理体制が改善されればホワイト国からの除外をやめて、元に戻すというのが論理的には落とし所。ただ、両方の感情的なもつれもあって、うまくそこに向かっていない」と指摘。その上で、「世耕経産大臣は現在、当初問題視していた運用ではなく、根拠法がないことを批判していて、韓国側にとってハードルが上がっている。落とし所はさらに遠くなっており、電子メールでのやり取りしかしていないというようなところから、信頼関係を徐々に構築して、落とし所に近づけていく作業が求められる」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)







