悪化の一途をたどる日韓関係を受け、韓国では一部の小売業者らが日本製の飲料や食品などを店頭から撤去する動きが相次いでいる。そんな中で立ち上がったのが、『NO NO JAPAN』という"不買運動"関連サイトだ
これは日用品から乗用車まで、様々な日本製品や企業をリスト化、韓国企業などが販売している代替製品を提案・案内しているサイトだ。一方、当初は記載されていたワコールやSK-IIについて100％韓国で生産されていることが分かると削除されたり、ソニーのプレイステーションの代替としてXboxが推奨されるなど、疑問点も少なくない。
韓国出身のジャーナリスト、崔碩栄（チェ・ソギョン）氏は「"韓国国産品を愛用しましょう"といった運動であれば良いと思うが、日本のことを必要以上に悪く表現しているものも入っているし、矛盾した情報も出てくる。こういったサイトが今までなかったので面白がられて話題になっているのだと思うし、長続きはしないのではないか」と話す。
「例えば100円ショップのダイソーが韓国でも人気だが、扱っている商品には韓国の業者が納品しているものもあるし、中国産やベトナム産の製品もある。それなのに店の前でデモのような形でプレッシャーをかけてしまえば、結局は韓国の業者も苦しむことになる。そして、そうしたデモの場面などを撮影している放送局のカメラもほとんどは日本製だ。日本製のカメラで日本製品の不買運動デモを撮るというのもおかしな話だ。そもそもサイトを立ち上げた人がテレビの取材に答えた際、使っているキーボードが日本製であることを指摘され、"これは昔に買ったものなので、捨てるわけにはいかない"と答え、後に謝罪することになった」。
その上で崔氏は「私が問題だと思うのは、"自分は不買運動などには参加しない"という冷静な人もいるのに、韓国のマスコミはデモをしている場面ばかりを報道するし、それを見た日本のテレビ局も"これが韓国全体の動きだ"だと誤解することだ。今まで通り生活している人についても紹介してくれれば良いのにと思う」と指摘する。
「街へ出ると、"うちの店では日本のビールを売りません"というものをたまに見るが、ソウルでバーを経営している友人に、"日本のビールなどは注目されなくなったか？"と聞いたが、"あまり変化は感じない"と言っていた。たまたまその店だけがそうなのかもしれないが。肌感覚ではあまり変わりないと聞いている。一方、例えば釜山にある日本領事館やフジテレビのソウル支局に乱入した大学生についって、日本のマスコミは"韓国の若者たちが日本の措置に対して怒っている"と報じる。しかし彼らは普通の大学生ではない。不買運動の前にトランプ大統領の韓国訪問に反対してトランプの絵を燃やしたり、『金正恩委員長研究会』という活動をしていたりする、『韓国大学生進歩連合』という組織のメンバーだ。親北朝鮮で反米主義といった政治色の強い人たちが不買運動の最前線で動いているし、デモ運動に参加している大人たちも、どちらかというと左派色の強い市民団体もしくは労働組合関係の人たちがほとんどだ。ある"韓国の若者が就職難などの不満を街で表現している"という見方もあるが、どんな時代でも不満を持っている人は一定数いると思うし、逆に大事な時に街に出てデモをしているから就職できないのではないか」。
また、釜山市が長崎県など日本の地方自治体との行政交流を「韓日関係が改善するまで暫定的に中断」と発表、済州市では、朝鮮通信使の文化交流事業に民俗芸術団が招待を受けるも不参加を決定。さらに巨済市では、姉妹都市の福岡県八女市に青少年文化交流訪問を行う予定をキャンセルし、独島（竹島）を訪問する方針に変更するなど、民間レベルでの交流にも影響が出始めている。
東京・新大久保の商店街振興組合に尋ねてみると、「不買運動は起きていないし、日韓関係悪化の影響は出ていない」としているが、青森県の私立高校が９月に予定されていた韓国への修学旅行を取り止めるなど、反応は日本にも現れている。
崔氏は「私の知人の娘さんが短期留学の形で日本の高校に通っているが、韓国にいる同級生からSNSなどに"君も不買運動をしろ"とか"売国奴"といったメッセージがいっぱい来て、悲しんでいるという話を聞いた。こういう時こそマスコミや知識人が冷静になるように呼び掛けたり、"こういう行動は止めましょう"と叱ったりしてくれないと困る。しかし日本を擁護すると自分たちも叩かれるから、そういったことは積極的にやらない」と訴えていた。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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