先月の参院選で2議席を獲得した、山本太郎代表率いる「れいわ新選組」。国会開会を前に、重度の障害を抱える舩後靖彦議員と木村英子議員の登院をめぐって、介助のための費用を参議院が負担すべきか否かの論争も巻き起こした。1日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』では、橋下徹氏とゲストの東国原英夫氏が、れいわ新選組について語り合った。
まず、橋下氏は「僕も格差是正や所得再分配は絶対に必要だと考えているし、本当に支援が必要な人には徹底的なサポートをすべきだと思っている。だけど一方では個人間の切磋琢磨も非常に重視しているので、競争や切磋琢磨、個人の責任というようなことは言うなよ、という雰囲気の山本さんとは政策の方向性は真逆だ。ただ、あの熱量、発信力、問題提起能力はやっぱり凄い。僕も東国原さんも首長のときには永田町の政治を動かすために大騒ぎしないといけなかった。色々言われているけれど、やっぱりあれだけの票を取るのは大変なことだし、自分を比例3位にするという背水の陣で臨んだことが熱量として伝わったんだと思う」とコメント。
ただ、問題となった参議院の負担問題については「障害のある人も働けるようにしていかないといけないのに、重い障害のある人の公的なサポートの制度には問題があった。そこを狙い撃ちしたのは見事だ。今回のことで全国的な話題にもなったし、制度は確実に変わることになると思う。今まで240人以上の議員がいたのに、バリアフリー化もそこまで進めてこなかったのが一気に実現した。政治家というのはやっぱり口だけじゃダメで、たとえ小さなことでも実行しないと。そこは認めなきゃいけない。ただ、障害のある・なしにかかわらず、所得の多い人は支える側に回るというのが福祉の根幹だと考えている。収入の少ない人がサポートを受けられるような制度にはしなければいけないと思うが、国会は企業とは違って議員を雇っているわけではないし、これから収入が大きくなる議員については自身で負担するか、れいわ新選組が党として負担すべきものだと思う」と主張した。
一方の東国原氏は「重度障害者の介助費用の問題点については前々から指摘されていたし、その当事者が国会に送り込まれれば、当然今回のような議論になるということも想像がついたはずだ。そこで"ほら、我々は実現させるでしょ"と、非常に具体的に表現した」と評価する一方、「奨学金の問題については良いと思うけど、僕はMMT理論にも懐疑的だし、公約で謳っていた財政支出についても危険性があると思う」と、れいわ新選組の主張に疑問も呈する。
「僕は選挙中、山本太郎さんの演説を二回見に行った。それぞれ1000~1500人ぐらいの支持者が集まっていて、スタッフの顔ぶれも含めてチェックした。そこで、こういうことかと思ったのは、大きな特徴として"プロ市民"がいいたこと。原発反対派がいたし、東京選挙区では沖縄の方を擁立していたので、辺野古移転反対のメンバーもいた。そしてここからは想像だが、斉藤まさしさんという方が全ての政策ややり方を主導しているのではないかと思っている。僕は彼が2013年の参院選で当選して以来、ずっと彼の考え方や政策を見てきている。その流れを見ていると、どうもそうじゃないかなと推察している。自民党が作った特別枠の仕組みを上手く使い、障害者である2候補が選挙運動をしなくても自動で当選するようにして、山本代表は比例第3位にした。おそらく比例で300票を取って、3枠通る予定だったと思うので、そこは計算違いだったのではないか。緻密な戦略だったとは思うが、3人通ることが成功だったと考えれば、今回の結果は山本代表の中では負けなんじゃないか。国会議員になった人間は総理を狙う、政権を取るというのを最大の目標にしなきゃいけないとは思う。だけど現実的に政権を取るのは、はっきり言って無理ではないか。危険性のある経済政策に国民が政権を委ねることはしないのではないか」。
すると橋下氏は「山本さんの政策は共産党の政策と凄く似ていて、志位委員長率いる昔の共産党じゃなくて、ちょっとエネルギッシュな、やんちゃな"ニュー共産党"のように感じるところがある。ただ、共産党があれだけ活動していても政権を取るところまでは行かなかったわけだから、山本さんも今の方向性のままだったら無理だと僕も思う。でもネットの中ではこれだけ盛り上がっているし、これだけ実行力を示したんだから、方向性を変えて、みんなに共感を得られるようになれば、わからない」と話していた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)