地上波未公開シーンを含めた完全版「しくじり先生 俺みたいになるな!!」が、AbemaTV(アべマTV)で放送された。
番組には“担任役”としてオードリーの若林正恭、“生徒役”として平成ノブシコブシの吉村崇、ハライチの澤部佑、タレントの伊集院光、STU48の瀧野由美子、BILLIE IDLE(R)のファーストサマーウイカが出演。今回は「当たってないのに当たったフリをしてデッドボールになっちゃった先生」として、元広島東洋カープの達川光男が登場した。
1973年に広島商業高校のキャッチャーとして夏の甲子園で優勝し、入団した広島東洋カープで大活躍した達川。1984年には日本シリーズ優勝を果たし、現役引退後は広島カープの監督やソフトバンクホークスのヘッドコーチなどを歴任した。
キャッチャーとして輝かしい経歴の達川だが、元ヤクルトスワローズの名捕手・古田敦也の出現で状況は変わったという。それまでキャッチャーの賞はすべて達川が受賞していたが、古田が現れてからは「すべての賞をもらうことはありませんでした」と愚痴をこぼした。
達川は、これまでに「当たってないのに当たったフリをして、デッドボールになった回数」が4~5回あると告白。きちんとテレビで公表するのはこれが初めてだという。
ファーストサマーウイカが「当たったフリをするというのはいいんですか?」と聞くと、伊集院が「ある程度までは職人芸とされている。あんまり度がすぎると『どうなの?』ってところです」と代わりに解説。こうした「当たったフリ」を、達川は「暇さえあればやっていた」「100回以上」と暴露し、笑いを誘った。
当時の映像を見てみると、達川はお腹スレスレを通ったボールに対し、当たっていなくてもユニフォームをめくって積極的にアピール。なんとか塁に出ようとする貪欲なスタイルを貫いていた。
このプレースタイルが確立されたのは、「長内デッドボール事件」の影響だという。満塁の場面で打席に立った長内孝は、脛にボールが当たったにも関わらず、アピールせずにそのまま立っていた。すると、デッドボールのコールはされず、三振に終わってしまう。監督は「なんでもっと当たったとアピールしないんだ!」と激怒し、すぐに2軍行きを命じた。
この様子を見ていた達川は「プロは当たったとアピールしないとダメなんだ」と学び、微妙なボールに対しても「とりあえず全部当たったとアピールしよう!」と考え、実践した。そして、気づいたら「グラウンドの詐欺師」と言われるようになっていたという。
達川最大のデッドボール詐欺事件は、1988年に行われた中日ドラゴンズとの試合で起こった。明らかにボールはバットの根元に当たったが、達川は倒れ込んで手に当たったとアピールすると、デッドボール判定が出された。当時の中日ドラゴンズ監督・星野仙一が猛抗議するも判定は覆らず、達川の出塁は成功した。
当時の心境を達川は「どっちみちピッチャーゴロなんだから」と、完全に開き直っていたと告白。伊集院が「嘘をついたからってツーアウトってことはないから、やるだけ得だって……極悪人ですよ! 言ってること!」とツッコミを入れると「つくづく思います。当時はビデオ判定がなくてよかった」と振り返っていた。