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(宮脇との合体式ボストンクラブを決めた清宮だが、勝利はならず)

 プロレスリング・ノアのシングルリーグ戦『N-1 VICTORY』が、8月18日の名古屋大会からスタートする。A・B各5名ずつの総当たり。9月16日の大阪大会で、両ブロックの1位同士が優勝を争う。出場選手とブロック分けは以下のとおり。

〈Aブロック〉

丸藤正道、杉浦貴、潮崎豪、マサ北宮、アレックス・ハマーストーン

〈Bブロック〉

中嶋勝彦、谷口周平、拳王、望月成晃、イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.

 シングル総当たりだけに注目カードは数多いが、特に期待が大きいのは9.7横浜大会での丸藤vs杉浦か。どちらも長きにわたってノアを支えてきた一流のベテラン。その2人の闘いをラジアントホールという小規模会場で(つまり間近で)見られるのは嬉しい。

 7月の鈴木秀樹戦をはじめ“覚醒寸前”の雰囲気がある潮崎と丸藤、杉浦たちの対戦も楽しみだ。Bブロックも星の潰し合いは必至。中でもリングネームを本名に戻した谷口の爆発ぶりは要注目だ。プロレスにおける蹴り技の使い手として現在最高峰と言えるであろう中島の実力者ふりも、ここで多くのプロレスファンに確認してほしいところ。

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(春日部大会のメイン、N-1変則前哨戦ではタッグ王者同士の激突も。潮崎が中嶋に強烈なチョップを連打)

 ただこのリーグ戦、現GHCヘビー級王者である清宮海斗の不参加が物議を醸している。タイトル奪取以来、新体制のノアを牽引してきた23歳のチャンピオンが見据えるのは11月2日の両国国技館大会だ。「ベルトの価値をもっと高めたい。そのためにN-1の優勝者と両国で防衛戦をやります」と清宮。

 リーグ戦の結果に左右されることなく、年間最大のビッグイベントでのタイトルマッチを早々に“確定”させるのが清宮の狙いだったのろう。だが当然、反発する選手やファンも出てくる。N-1を団体の最強決定戦と捉えるなら、王者不在では成り立たない。「それでは単なる挑戦者決定戦だ」というわけだ。

 とはいえ王座を制定している団体において“最強”とはすなわちシングル王者であり、最強決定戦とはチャンピオンシップ。リーグ戦やトーナメントの意味づけが団体によって異なるのも当たり前のことだ。もちろん、リーグ戦が盛り上がってもチャンピオンの存在感が薄くなっては意味がない。

 開幕直前に開催された8月16日の春日部大会では「N-1スペシャル6人タッグマッチ」として丸藤&杉浦&潮崎vs中嶋&谷口&拳王が実現。AブロックvsBブロックという顔合わせで、相手チームと闘うだけでなくパートナー同士が牽制し合う場面も。複雑な要素の試合ながらそれぞれが持ち味をしっかりと出す熱戦となった。

 最後は谷口が敵も味方も蹴散らした上で杉浦からギブアップを奪い、リング上で優勝宣言。タッグ王座を保持する潮崎と中嶋の打撃戦も凄まじい迫力で、N-1への期待感を高める一戦だったと言える。

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(メインで勝利したのは谷口。杉浦からタップを奪ってリーグ戦に勢いをつけた)

 一方、清宮は宮脇純太と組んで北宮&稲村愛輝と対戦。宮脇が北宮に3カウントを奪われている。N-1にエントリーしている北宮は優勝の先も意識し、清宮を「リーグ戦の間、存在感を消されないようにせいぜい頑張れよ」と挑発している。

 北宮の言葉通り、リーグ戦の間も清宮はマークされることになる。対戦相手はチャンピオンの存在感を消そうとしてくるはず。注目カードが続くN-1期間中、清宮がどんな闘いを見せるかは重要だ。リーグ戦の優勝争いと同時に「N-1vs清宮」という構図も見逃せない。

文・橋本宗洋

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