
この8月から9月にかけて、女子プロレス団体アイスリボンが勝負に出ている。まずは8月14日から17日にかけ、上野恩賜公園野外ステージで夏祭り興行を開催。4日で10大会という凄まじい連戦だ。ユニットごとのプロデュース興行、コスチュームチェンジマッチなどバラエティ色の強い試合もあったが、何しろ会場は炎天下の野外ステージだ(屋根が付いているが、そのぶん熱気がこもる)。選手も観客も闘いを満喫しつつ、体力勝負の10連戦だった。
10大会目は「スプラッシュリボン」と銘打たれ、水鉄砲やホース、水風船、バケツでひたすら水をかけあうバトル。試合コスチュームではなく水着を着た選手も。もちろん観客も水をかけられまくり、なおかつ試合中に野球対決が始まる無軌道ぶり。
またこの10連戦の1大会目に組まれていた世羅りさvs藤田あかねのシングルマッチは、両者が闘っては姿を消しの連続で延々、決着がつかず。藤田の勝利で試合が終わったのは10大会目のメイン終了後だった。試合時間は実に73時間31分35秒。時間無制限一本勝負の醍醐味としか言いようがない。
「全力でふざけた!」と言うのは取締役選手代表の藤本つかさ。世羅はこの連戦を乗り切ったことでアイスリボンの団結力が高まったと言う。藤本は「選手だけでなくスタッフ、お客さんみんなでアイスリボン」。そして「これで24日の後楽園ホールをテンションMAXで迎えることができます」。

この8.24後楽園大会は“勝負論”の大会になる。現在、団体の頂点・ICE×∞王座は空位となっており、新王者を決めるトーナメントが進行中。後楽園では準々決勝と準決勝を一気に実施することに。ベスト8の組み合わせは以下に決まった。
雪妃真矢vsラム会長
山下りなvsつくし
ジュリアvs世羅りさ
藤本つかさvs柊くるみ
藤本が「準々決勝からどの試合も後楽園のメインでおかしくないくらい」という好カード。藤本との防衛戦が時間切れ引き分けとなり、規定により王座剥奪となった前王者の雪妃が本命とも言い切れない。所属のトップどころだけでなく、666から定期参戦を始めたラム会長、フリーとして出場中の山下の闘いぶりがカギになってくるのではないか。成長著しいジュリアも侮れない存在だ。
さらに9月14日には、年間最大のイベントとなる横浜文化体育館大会が待っている。昨年の同大会では、藤本が「女子プロレス黄金時代を作ります」とアピール。年末にはプロレス大賞の女子プロレス大賞を受賞することにもなった。
新人も続々とデビューし、選手層が充実している現在のアイスリボン。その勢いを2カ月連続のビッグマッチで見せつけ、黄金時代を引き寄せたい。
文・橋本宗洋