その特徴的な眉毛で注目を集めたタレント井上咲楽が、新たな境地でブレイクした。それが「昆虫食」だ。昆虫だけを食べて3泊4日を過ごすという過酷な企画にチャレンジしたが、多くの人が想像するような、悶絶の表情を浮かべる食事シーンはなく、むしろおいしそうに虫たちを頬張る井上の姿が、大きな反響を呼んだ。本人に話を聞いてみると「エビやシャコと一緒ですよ。生まれた時から食べ物として認識しているかどうかです」と、既成概念をぶち破る答えが返ってきた。
井上が挑戦したのは「陸海空 こんなところでヤバいバル」内で企画された「虫の力だけで3泊4日離島一周ヤバいいね!の旅」だ。数々の過酷な環境に挑んでいくのがウリの番組だが、中でも多くの人が「ゲテモノ食い」と呼ぶ昆虫食に、しかも19歳の女性タレントが挑んだことで大反響となった。「昆虫を食べることに抵抗はなかったです。調味料は『さ・し・す・せ・そ』しか持っていかなかったんですけど、揚げたり、焼いたり、甘く煮たりと、レパートリーもあったので昆虫食自体には飽きなかったです」と笑顔で振り返った。
もともと別の番組で昆虫食に初挑戦、おいしさを知っていただけに、新たな昆虫への挑戦には好奇心しかなかった。「やっぱり最初は『ゲテモノかー、うえー、でも食べてみるかー』って思う人は多いけど、食べてみたらちゃんとおいしいので、結構食べられる人は多いと思っています」。私生活でも、昆虫食ができるカフェに出向いたり、ペットショップで爬虫類用の餌を購入、自宅で調理したりすることもある。「初心者の方には、ミルワームとかおすすめですね。1匹40円ぐらいですが、すごく細いので、質量を考えたらちょっと高いかもしれません。でも揚げてもいいし、炒めてもいいし。私は茹でてから中身を出してタルタルソースみたいにして食べています」と、調理法も紹介した。
ここまで井上が、スラスラと昆虫食を語れるのは、そこに「食べているものが虫である」という先入観や、固定概念がないからかもしれない。「今まで私たちが生まれた時に、昆虫を食べるものとしてこなかっただけなんですよ。みんなびっくりしますけど、エビやシャコだって一緒です。食べ物として認識しているかどうかだけで。よく見たらその2つも、すごい見た目というか、いかついじゃないですか」と、寿司屋では定番の食材も、虫と変わらないという。「もし生まれた時から食べ物として認識をしていたら、エビのような扱いで、お寿司のネタとして『はい、ゴキブリ!』と言われていても当たり前だったかもしれないですよね」。はるか昔、エビにしろ、シャコにしろ、最初に口にした人類の誰かも、周囲からすれば「ゲテモノ食い」に見られていたかもしれない。ただ、そういう先駆者がいたからこそ、現在は食材の一種に加えられている。近年では、世界的な人口増加による食料難に対して、家畜よりも大量生産しやすい昆虫に期待が寄せられている実情もある。
関係者にすすめられて見た女子高生サバイバルアニメ「ソウナンですか?」は“昆虫食タレント”としては、興味深いシーンが多いという。女子高生4人が事故によって無人島に漂着する物語だが「私は同じ立場で見ちゃいましたね。私も3泊4日、寝るところも寝袋もなかったですし」と共感した。作中ではセミをはじめ、昆虫を食べるシーンも出てくるが「第5話に出てくるヒトデを食べるシーンはすごく印象に残りましたね」と、知識を得たと喜んだ。また、他の生き物の命を得て自分が生きていることを再認識し「今、食べることが作業みたいになっちゃっていることもあるけど、アニメを見ていて、そうじゃいけないんだなとも思いました」と神妙な面持ちにもなった。
今後、食べてみたい昆虫について聞かれると、即座に「カミキリムシとサクラムシ」と答えた。「カミキリムシの幼虫が食べてみたいです。すごいおいしいんですって。バターみたいでクリーミーさが群を抜いているらしくて。あとサクラムシも食べてみたいです。昆虫食界では、カミキリムシとサクラムシはトップみたいな感じで『あー、あれねー』ってなるらしいんですよ」と、まるでフォアグラ・キャビアについて語るように、ハイテンションで紹介し始めた。
勢いは止まらない。「サクラムシは本当に桜の香りがするらしいです。私は桜餅とか大好きなので、ぜひ食べてみたいですね。あと、実家が薪ストーブだったんですが、薪の中にカミキリムシの幼虫とか、よく出てきたんです。それを自然にかえしてたんですけど、何年ももったいないことしたなと思ってます。なので、今年はカミキリムシを食べるために、実家に帰ろうかとも思っています。そのぐらい食べたいです」。この調子であれば「昆虫食ソムリエ」なんていう肩書が、そのうちプロフィール欄に入るかもしれない。
(C)岡本健太郎・さがら梨々・講談社/ソウナンですか?製作委員会
(C)AbemaTV