(東京女子でもトップクラスの人気選手になった万喜。ベルトという実力の証もほしいところ)
新人が続々とデビューしている東京女子プロレスだが、その一方でフリー選手の存在がトップ戦線を激しくしている。団体の雰囲気になじんでいるため“外様”感はまったくないのだが、9.1大阪大会でプリンセス・オブ・プリンセス王者・中島翔子に挑戦する瑞希、その瑞希とトーナメント決勝を争ったまなせゆうなはフリー。今年に入って元アクトレスガールズの万喜なつみもフリー参戦してきた。
5.3後楽園ホール大会では乃蒼ヒカリと組んでタッグ王座に挑戦した万喜。8月25日の後楽園大会では、新設されるインターナショナル・プリンセスの初代王座決定戦に臨む。
選手の海外遠征や来日外国人選手も増えている中、海外に広く挑戦者を求めるというインターナショナル王座。万喜は日本代表決定戦4WAYマッチに勝ち、ジゼル・ショーとベルトをかけて闘う。
明るいキャラクター、スピーディーな試合ぶりに加えアイドル人気も高い万喜だが、もう一つの持ち味は本人も言うように「負けん気、気の強さ」だ。顔面を撃ち抜くドロップキック、あるいは打撃の応酬で一歩も引かないところなどは“日本の女子プロレス”らしいファイトスタイルと言ってもいい。
(8月10日の板橋大会ではアプガ(プロレス)らくと対戦。相手の魅力を引き出す闘いを見せた)
キャリア4年半、これまで何度かあったタイトルのチャンスを逃し「応援してくれる人を悲しませてしまったけど、それはもう終わりにします」と万喜。東京女子は他の団体と勝手が違い、悩むこともあったというが自分を貫いた。だからこそ東京女子プロレスになじみはしても埋没はしなかったし、こうしてベルトのチャンスを掴んでいる。
タイトルマッチが決まると「東京女子に新しい風を吹かせたい」とコメントした万喜だが、大会前日のイベントでは「もっと大きな目標もあります」と語っている。
「女子プロレスをもっと広めたいし、盛り上げたい。そのために私がベルトを巻きたいと思ってます。チャンピオンになれば発言権もあると思うので」
東京女子プロレスは他団体との本格的な交流がなく、それゆえに独自の世界観を築くことに成功した。ただ万喜は“外の世界”、“女子プロ界”を知っている。そんな選手がチャンピオンになり、自己主張することでどんな風景が見られるか。まずはベルトを巻くことが「夢への第一歩」だと万喜は意気込んでいる。
文・橋本宗洋