就職サイト『リクナビ』の閲覧履歴を元に学生の内定辞退の可能性をAIで予測、その情報を販売していたことが問題視されていたリクルートキャリアに対し、政府の個人情報保護委員会が26日、是正勧告を行った。
同社の小林大三社長が同日夜に記者会見を開き、「本日当社は個人情報保護委員会より勧告・指導を受けました。この度は学生の皆様大学の関係者の皆様、企業など多くの方々にご心配・ご迷惑をおかけし本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
今回の問題を受け、元リクルート社員で働き方評論家、千葉商科大学専任講師の常見陽平氏は「同意を得ずに約8000人の学生からデータを集めていたという問題とは別に、心情的な問題、つまり、ぶっちゃけ皆『リクナビ』のことが嫌いだということもあると思う。そして、背景には、リクルートの焦りがあると思う」と話す。
「競合が台頭、2015年からはマイナビが首位になり、スカウト型の人材サービスも立ち上がってきていて、経営陣からは"仕組みでもっと回せるようにならないか"と言われていたようだ。また、38社のうち20社くらいの社名が明らかになっているが、内定辞退に困っていないような大企業も多い。ここからは憶測だが、"HRテック"といってデータの時代にもなってきているし、すでにSPIの結果を企業に提出もしているので、"新しいサービスを作るから実験に手伝ってくれないか"とフィジビリティスタディのお願いをしたということではないか。軽い気持ちだったのかもしれないし、インターネットのことも本当にわかっているのかなという疑問を持った」。
その上で経営責任について「すでに大手紙4紙に叩かれているし、株価も1割くらいダウンしている。ここまで問題が大きくなったのはリクルート事件以来だし、信頼を失った代償は大きく、責任は重い。率直に言って、小林社長は辞めるべきではないか」と厳しく批判した。
また、慶應義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「日本の新卒就活市場というのはものすごく異質なものだし、新卒一括採用が日本を弱体化させている要因だと思う。大体、日本企業の人事部にいる人の多くは転職経験も無く、終身雇用の中で生きてきた"純粋ピュアピュアサラリーマン"。彼らのモチベーションは、会社に役に立つかどうかより、他の企業が知っていることは知っておかないと、そしてミスをしないようにしよう、というもの。そこにつけ込んだのが今回のサービスではなかったか。大企業も引っかっているので、リクルート特有のビジネスの上手さも感じるが、そのデータが本当に役に立つかどうはあまり考えていないようにも見える。もともとネット分野には出遅れていたが、まさに"データに弱いリクルート"という感じがする」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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