第90期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負を制し、初の棋聖位を獲得した渡辺明棋聖(棋王、王将、35)が9月4日、都内で行われた就位式に出席し、豊島将之名人(王位、29)との“頂上決戦”について「この五番勝負で勝ってこその巻き返しと思っていた」と、シリーズを振り返った。
6月から行われた棋聖戦五番勝負は、当時二冠だった渡辺棋聖と、棋聖位を含めて三冠だった豊島名人との、初の番勝負ということもあり、開幕前から五冠が集まる“頂上決戦”として注目を集めた。第1局は豊島名人が制したものの、第2局からは渡辺棋聖が3連勝で一気に奪取。挑戦3度目で、初の棋聖位に就いた。
渡辺棋聖は「前回(棋聖位に)挑戦した時は、羽生さんが当時三冠で、私も三冠を持った状態。その時も頂上決戦でした。この1年半ほど、巻き返しをはかっていく中で、この五番勝負に勝ってこその巻き返しがなると思っていたので、集大成というのもあれですが、強い気持ちを持って臨みました」と語った。
渡辺棋聖は順位戦でもA級から降級、タイトルも棋王のみ、2017年度の勝率は、プロ入り後初めて5割を切るなど、不振だったこともあったが、前期の順位戦B級1組では全勝でA級復帰。タイトルも棋聖、王将と奪取し、永世称号を持つ棋王とともに、現在は棋界唯一の三冠保持者になっている。「久しぶりに三冠に復帰することができましたが、前回は最初の防衛戦で失敗してしまったので、今回はそれよりも長く三冠を保持するのが目標です」と、“長期政権”へ目標を設定していた。
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