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(9.1大阪大会には美軍が全員集合。試合前には写真集のサイン会も実施するなど高い人気を誇る)

 東京女子プロレスの頂点、プリンセス・オブ・プリンセスのベルトを現在巻いているのは、団体初期メンバーの中島翔子だ。今年5月の後楽園ホール大会でエース・山下実優を下して初戴冠。その直後にサンダー・ロサを相手に初防衛に成功した。

 しかし毎年恒例のトーナメント、東京プリンセスカップでは2回戦敗退。中島に勝った瑞希がそのまま優勝し、9月1日の大阪大会で中島のタイトルに挑んだ。これまでタッグで活躍することの多かった瑞希にとって、トーナメント制覇と王座挑戦は“ひとり立ち”を意味した。中島にとってはトーナメントのリベンジ戦であり、自分と組んでいた坂崎ユカの新パートナーとしてタッグベルトを巻いた瑞希には特別な思いもあった。初防衛戦が外国人選手相手だっただけに、東京女子のレギュラー選手に勝つことで王者としての地位を固めることも重要だ。

 過去に何度も闘ってきた両者の試合は“読み合い”の様相となった。得意技がなかなか決まらず、決まっても簡単にはフィニッシュにつながらない。最後は中島がノーザンライトスープレックス、ダブルアームDDT、ダイビングセントーンとたたみかけて勝利したが、その直前までまったく互角の展開が続いた。

「みずぴょん(瑞希)との試合は楽しくて、自分がイキイキしてるのを感じる。痛いのに思い切りやりあえるんです」と試合後の中島。瑞希は涙を見せながら「まだまだこれから頑張れるって思いました。絶対にあのベルトを獲りたい。私は主役になりたいタイプじゃなかったけど、真ん中に立ちたいと思えて楽しかった」と語っている。

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(中島に挑戦表明した操。「正々堂々と」と中島が求めた握手を拒否した)

 瑞希との防衛戦をクリアしたことは、中島にとって大きな一歩だった。そこに現れたのが、瑞希とは別種の“最強の挑戦者”。NEO美威獅鬼軍の操である。

 かつてハイパーミサヲのリングネームで活躍。様々なアイディアを盛り込んだ試合形式やコミカルなキャラクターで人気だった操だが、強さと結果を求めて沙希様率いる美軍に加入。コスチュームも名前も変えるとタッグ王座を獲得した。「操」としてはシングル、タッグとも無敗。9.1大阪での6人タッグマッチでも、因縁のある辰巳リカにフォール勝ちしている。

 タッグ王者になっても、どれだけ勝っても「渇きが満たされない」と操。シングル王座という“強さの証”は「(過去の)すべてを捨て」て美軍入りした自身のキャリアを肯定するものでもある。

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(先の読めない攻防が展開された中島と瑞希の王座戦。紙一重の勝負だった)

 そんな操について、中島は「根本にあるものは、私の好きなミサヲから変わってないと思います」と言う。プロレスに対する、ある種の“凝り性”、そのアウトプットの仕方が違うだけというのが中島の見方だ。現在のコスチュームやファイトスタイルも「自分の好きにやるのが一番いいので」と肯定している。

 タイトルマッチが行なわれるのは9月15日の両国KFCホール大会。「昔のミサヲに戻ってほしい」と言わない王者は、むしろ操にとってやりにくい相手か。だからこそ本当の実力が問われる闘いにもなる。沙希様のアシストも得られないタイトルマッチ、操は変化したというだけでなく成長した姿を見せる必要があるだろう。

文・橋本宗洋

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