16日、幕張メッセ・イベントホールで行われた『RISE WORLD SERIES 2019 Final Round』の1回戦にアトム級(-46kg)の那須川梨々が登場。7月の同級タイトル戦での敗戦以来となる再起戦で上仮屋真莉と対戦し、2R開始早々に右ハイキック1発でKO勝利。自身初となるKO勝利に梨々は試合後「KOの快感を知ってしまった」と笑顔を弾けさせた。
1R中盤、上仮屋のガードが下がったところに左フックを捻じ込んで最初のダウンを奪った梨々。しかし、キャリアで初めてだったというダウンを奪ったことで「興奮してスイッチが入ってしまい大振りになってしまった。もっと落ち着いていれば1Rで倒せていたはず」と反省しきり。その後も上体を振りながら左右の連打を効果的に当てる梨々に対して、上仮屋は効果的な攻撃が無く防戦一方だった。
試合が決したのは2R。開始早々、梨々のパンチに反応するように上仮屋が右ローを蹴りに出た瞬間、1Rではほぼ封印していた右ハイがカウンター気味に上仮屋の顔面を捉えた。この日2度目のダウンは、まさに兄・天心譲りの見事な1発KOだった。
「復帰戦ということで、頑張って練習してきて……KO初めてだったんで(涙で声に詰まる。セコンドの会長を見ながら)もっと強くなります。声援ありがとうございました」
試合後にマイクを握って観衆に挨拶した梨々。控室に戻って冷静さを取り戻すと「(7月にタイトル戦で負けて)今回も負けたら終わりだと思って練習していた。最後のハイも練習していたものだけど、いざ当たってダウンになると、ワケがわからなくなってしまって……ヤバかったっす(笑)。天心にも綺麗に入れば、女子でもKOはできる。もっと強くなれると言われていたので」と話した。
TEPPEN GYMの代表である那須川弘幸会長も「練習してきたものをちゃんと2つ出せた」と今回の勝利には満足の様子。その2つとは、いずれもダウンを奪った左フックとハイキックのこと。練習どおり、狙いどおりの結末に弘幸会長は「じつは頭がいいんだね」と冗談交じりに親心をのぞかせた。
見事、再起の一歩を踏み出した梨々は既に11月大会を見据えている。「相手は誰だかわからないけど、この調子でKOして勝ちたい」と意気込みを語ると、ひと呼吸おいて「KOってこんな気持ち良かったんだ」とKOの快感、そして勝利の喜びを静かに噛みしめた。
インタビューを終えると、弘幸会長が同じ控室内でメインイベントを闘うべく備えている兄の天心に向かって叫んだ「天心、タピオカ買って来いってよ」。これは梨々の好物で「試合が終わったら飲みたい」と楽しみにしていたものだが、さすがに志朗との「世界NO.1」をかけた大一番を前に、この要求は一笑に付されていた。
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