こんにちは。青木真也です。武尊戦のオファーは待ってないです。
先日のRISEでは、那須川天心さんの試合後のマイクに話題のほとんどが行っていますが、ハイレベルな試合が多く、格闘技興行としてクオリティは高かったです。白鳥大珠選手のノックアウトに鈴木真彦vs田丸辰戦などハイレベルな試合が多かったのですが、メインの那須川vs志朗戦に話題を持って行かれてしまいます。那須川天心に話題を持って行かれることは、今のRISEの構造上仕方がないとは思っています。新しいタレントがすぐに育つわけでもないし、地道な作業が必要なのです。タレントは育っているのは事実なので、今はゆっくりと春を待つ辛抱の時期なのでしょう。
その意味で大会を一身に背負って那須川天心さんは闘っています。
その大変さは、同じようなことをやっている身として僅かながらわかります。成功すればハードルが上がるし、成功しないわけにはいかないわけで、どんどん足し算をするようになっていきます。期待値はどんどん上がっていくので、それに真っ向から向き合おうとすればするほど、心身ともに消耗していきます。
これは格闘技だけではなく、すべてのことに言えると思うのですが、求められることに答えていくことで足し算になっていくことが多く、結果的に作り手を苦しめたり、作り手が消耗することで受け手にも影響を及ぼしたりします。足し算になっていってしまうのは仕方がないのだけれども、どこかでそれを止めなければいけないと僕は思っています。
その意味では今回の那須川vs志朗戦は意味のある試合だと思って見ていたし、志朗選手は必死に勝ちを目指して闘っただけなのですが、味わいのある良い作品に仕上がっていました。派手な試合を期待していたファンからは期待ハズレ的な声も聞こえますが、僕は十分に楽しめたし、格闘技の面白さを感じました。
両選手の試合をまた見たいと思うし、足し算がここでひと段落したことで、また新しいものができてくると思うので楽しみに待っています。いつも派手な試合ばかりでは慣れてしまうし、漬物があって、味噌汁があって、ご飯があるわけで、コース料理みたいなものです。全てがメインディッシュではコースにならないわけですからね。
さて10月13日の私のONEの試合です。試合順がセミファイナルになりました。自分の仕事をよく理解して、試合までの日々を懸命に過ごします。日々をコツコツやっていきましょう。
文/青木真也(格闘家)