さいたま市見沼区の集合住宅敷地内で起きた小4男児遺棄事件について、お笑いタレントの千原ジュニアが死体遺棄容疑で逮捕された義父の「未熟さ」に対して憤りを露わにした。
19日夜、進藤遼佑くん(9)の遺体を遺棄したとして逮捕されたのは、義父で無職の進藤悠介容疑者(32)。進藤容疑者は逮捕当初、遼佑くんが学校にかぶっていく帽子をなくし、その帽子を探すように注意したところ「本当のお父さんじゃないのに」と言われて腹が立ち、首を絞めて殺害したと供述していた。しかしその後一転、「誰がやったかわからない。犯人に心当たりはない」などと話し、さいたま地検の調べに対し容疑を否認しているという。今回の事件を受け、“連れ子再婚”に注目は集まっているが、そもそも進藤容疑者はどのような人物なのだろうか。
進藤容疑者は遼佑くんの実母で教員を務める42歳の女性と昨年12月から同棲をはじめ、今年3月に結婚。遼佑くんの義理の父親として生活していた。今回の事件のように「義理の父親と子ども」という家族関係が事件を引き起こすケースは極めてまれだが、専門家は連れ子を持つ再婚家庭には難しさもあると指摘する。家庭問題コンサルタントの池内ひろ美氏は、その原因について「親の側の未成熟さ」を挙げると「夫の側が子どもに対する嫉妬を抱えることがある」と説明した。
17日には東京・目黒区で虐待を受けて衰弱していた船戸結愛ちゃん(当時5歳)を放置して死なせた罪に問われた母親の船戸優里被告(27)に対し、懲役8年の判決が言い渡されている。この事件では再婚相手で義父の船戸雄大被告(34)も逮捕されており、この痛ましい事実を見逃すことはできない。池内氏はそのうえで、血の繋がっていない親子関係には「乗り越えなければならない壁」があると指摘する。
「“母親の恋人”である男性と、“子どもの父親”になることのできる男性ではまったく意味が異なる。恋愛関係であればそれぞれの状態がいい時だけ会えばいいが、家族になるといい時もそうじゃないときも一緒。血縁が無ければ『途中参加してくる』ということにもなり、血縁の有無は大きな違和感につながる。そのため父親には社会人として一人前になるという努力も求められる」
さらに池内氏は「1年間の生活を乗り越える」ことも重要だと続ける。
「再婚して生活を共にするようになってからの一年間は重要。四季の移り変わりによって心身の状態も異なるので、必要になってくる世話も変わる。1年過ごすことができれば、翌年以降は繰り返しになる」
そして3つ目に挙げるのがライバル関係だ。「人間である以上、嫉妬が芽生えることはある。大好きな女性と結婚したが、彼女が一番愛しているのは自分の子ども。“条件付きの愛情”に気づいた義父が嫉妬に駆られると、幼い子どもとの間で『僕の方が大事なんだ』と愛情の奪い合いが始まり、ライバル関係に発展してしまうことがある」と池内氏は語った。
■様々な困難をともに乗り越える。それが人間の育み
“父親の未成熟さ”が、尊い幼い命を奪う悲劇が後を絶たない。この負の連鎖について映画監督の井筒和幸氏は「本当のお父さんじゃないというのは一緒に暮らす前からわかっていたことで、なぜ乗り越えることができなかったのか。四季を乗り越える、一年、そして二年を乗り越える。それが人間の育みだ」と持論を展開した。
東京大学大学院卒で元日経新聞記者の鈴木涼美氏は「自身に子どもがいなければ、この母子がどのような生活をしていたかも分からないので不用意な発言はできない」と前置きをしたうえで「自分が子どもの犠牲にならずに職を得たり、再婚をしたりする。そのことと、子どもを自分の犠牲にしないということは両立しなければならない問題」と話した。
現在1児の母で、来年1月には第二子出産を予定しているスポーツコメンテーターの田中雅美氏は、自身の姉も子連れ再婚であることを明かすと「一番気にしていたのは、子どもと父親になる男性の関係性だった。子どもの成長に伴って精神状態が変化する中で難しい時期もあったというが、そんなときは実家の存在が役に立った。子どもが家庭以外の別の居場所を確保することは大事だし、親も親で愚痴をこぼしたりできる」と話し、母子にとって家庭とは別の第二、第三の居場所の必要性を訴えた。
一連の話を受けた千原ジュニアが「動機もそうだし、殺害後の動きも含めて子どもが子どもを“殺した”ような気がしますね」と静かに述べると、井筒監督も「あの男は男じゃない。ただの男の子だ」と続き、容疑者の未熟さを糾弾した。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』)
【映像】専門家は「条件付きの愛情」による嫉妬を指摘
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