台風15号による千葉県内の大規模停電。東京電力は24日、早期の復旧が困難な場所が190軒残っているとしたものの、停電情報のホームページでは0軒となった。
多くの県民のインフラが回復する中、広範囲で家屋などに被害が出た鋸南(きょなん)町でも前に進もうと努力する人たちの姿があった。
廃校となった小学校を再利用した道の駅「保田小学校」では、台風の影響で建物の壁が剥がれ落ち、3000点以上の土産物や野菜が雨に濡れて売り物にならなくなったという。甚大な被害が出たが、地元の声に応え、道の駅のアートギャラリーを改装し規模を縮小して直売所を再開した。
「まず地元の農家さん。野菜は植えてから収穫するということを待つことができない。今回、多くの被害もあったので、残っているもので販売できる場所を提供したい」(鋸南楽市の中山正喜さん)
売り場の規模は大幅に縮小したものの、被災地を応援したいという人や地元の人が集まっているという。
「ここに来れば物を買える、地元の人だったら誰かに会える。農家さんもここに来ることで、今まで無事かどうかもわからなかった知り合いの方と会える。出会いの場というか、交流の場にもなるんじゃないかなということで、とにかくお店を早くやろうと」(鋸南楽市の中山正喜さん)
復興に向けて動く人たちの一方で、台風被害を機にある決断をしたお店もあった。漁港近くの商店街にあるスーパー「明石丸」。停電の中、「少しでも役に立てば」といち早く営業を再開させていたが、9月末での閉店を決めた。
かつては卵や豆を売る商店から、2代目が増築してスーパーへと姿を変えながら、地元住民に親しまれてきた明石丸。創業80年、人口減少や大型店進出などの逆風に耐えてきたが、今回の台風が決定打になったという。
「冷凍のものも冷蔵のものも廃棄処分。この先これを直して残してやっていくには、相当な労力と人力と経済力がないと復旧は不可能なので。3代続いて街中の一番いいところにあって本当に切ないんですけど、やめることを決意しました」(明石丸の柴本加津代さん)
生活の支えとなってきた明石丸の閉店に、町の住民からは「『えっ!?えっ!?えっ!?』ですよ。どうしましょうって」「ちょっとどころか生活みんな狂っちゃう。ここで十分間に合っちゃうの。ここがないとなると遠いところまで行かなきゃいけない。車がないと行けないでしょ。だから困っちゃう」と困惑の声が上がる。
今回の台風は、こうした住民の支えも奪おうとしているのだ。
「最後までここに買いに来てくれたお客さんに、今までやってこられたことに感謝しながら売り続けたいと思います」(柴本さん)
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)









