遺伝子を操作し、「ゲノム編集」をした食品を知っているだろうか。例えば、筋肉量を増やし肉厚にした「マッスルマダイ」などだが、この「ゲノム編集食品」の届け出制度が10月1日から始まる。
厚生労働省に事前に相談し、ゲノム編集と判断された場合には届け出をすることになる。しかし、この届け出は任意で、ゲノム編集食品を示す食品表示も義務ではない。現時点では、ゲノム編集と従来の品種改良を科学的に判別するのは難しいことが理由だという。
表示を義務化しないことについて、街の人からは「いじってあるならいじってあると書いたほうがいいのではないか」「詳しく分からないものを口に入れるのは怖い」といった声があがる。また、東京大学が2018年に男女約3.8万人に行った調査では、約4割の人がゲノム編集食品を「食べたくない」と答えたという。
義務化しない一方で、国は生産者や販売者に対し、ゲノム編集食品であることを自主的に表示したり、ホームページで情報提供したりすることなどを求めている。消費者庁は「ゲノム編集食品かどうかを知りたいという消費者の思いに応えるため、業界などに情報提供を働きかけるとともに、今後必要であれば見直しを含めて対応していきたい」としている。
そもそも、ゲノム編集とは何なのか。遺伝子組み換えとは何が違うのだろうか。遺伝子解析ベンチャービジネスを展開するジーンクエスト代表取締役の高橋祥子氏によると、遺伝子組み換えは外来遺伝子を注入し、本来その生物が持っていない遺伝子が残ることで、「青いバラ」などはこれにあたる。一方、ゲノム編集はツールを注入し、本来その生物が持っている遺伝子のうち狙った部分のみに変異が残る(ツールは消失する)ことだという。
このゲノム編集によって世の中にどのような影響があるのか。高橋氏は「例えば、栄養価が高い果物ができたり、病気の予防ができる野菜ができたりといった利便性が出てくると思う。(品種改良で)10年かかっていたものをすぐ作れるようになるイメージ」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)