女子格闘技界に彗星のごとく現れた平田樹(20=K-CLANN)が、10月13日に東京・両国国技館で行われる「ONE: CENTURY 世紀」で、プロ格闘家としてのデビュー2戦目に挑む。
格闘リアリティ番組「格闘代理戦争3rdシーズン」の優勝者として、19歳でONE Championshipとの契約を掴んだ平田は、MMAをはじめて僅か1年でONE本戦出場への階段を駆け上がった。6月15日、中国・上海で開催された「ONE:LEGENDARY QUEST」でデビューを飾った平田は、女子アトム級のアンジェリー・サバナル(フィリピン)に1R・V1アームロックで一本勝ちを収める。それはまさに、鮮烈なデビュー。そんな彼女の活躍を受け、ONEの公式サイトは「Japanese Phenom(日本から来た天才)」と最大級の賛辞を送っている。
そんな平田がデビュー2戦目で戦う相手は、リカ・イシゲ(タイ)だ。2018年に一足早くONEでのデビューを果たしている日系タイ人で、平田がデビュー戦で圧倒したアンジェリー・サバナルとの対戦では、打撃戦の末に判定で敗れている。入場時のコスプレ姿が印象的な個性派ファイターだが、「アイドル系には負けられない。『ONEのアイドル』とか言われているので、勝ったら世代交代だ」と平田の鼻息は荒い。
自身のONEデビュー戦について「殴り足りなかった。パウンドをもっと打ち込みたかったが、腕が伸びてきたので、つい極めてしまった」と振り返ると、次戦に向けては「ボコボコに殴って勝ちます」と“一発KO”を宣言。現在は小学校から培ってきた柔道(小学では全国3位、高校では選手権で優勝)の揺るぎないスキルと自信をベースに、主に打撃のトレーニングに時間を割いている。練習の成果を感じている本人は「相手のパンチをもらっても下がらず、間合いを詰め、ケージに追い込んで殴る。見る人も寝技だとあまり盛り上がらないと思うので……まずは盛り上がる試合を。それが私のスタイルです」と自信満々だ。
「やるからにはONEの顔的な選手になる」と心に決めている平田の標的は、ストロー級との2階級制覇では足踏み状態が続いているアンジェラ・リー(シンガポール)だ。アトム級で圧倒的な存在感を放つ彼女がONEを引っ張る女子選手の一人であることに違いはなく、そのアンジェラに勝ってアトム級のタイトルを獲ることが、悲願でもある。つまり今回の試合は一つのステップであり「まずは彼女(リカ・イシゲ)を“ぶちのめして”から」という言葉は本心だろう。「22歳までにはタイトルマッチをやってベルトを獲りたい」と話すなど、その時が決して遠い未来ではないことを本人は十分に自覚している。
一方、彼女が勝ち星を重ねるごとに増えているのが、タトゥーだ。ONEに参戦する大先輩で、日本屈指のグラップラーである青木真也は、平田のタトゥーについて「何でオレに相談しないんだ。もう増やすなよ」と苦言を呈したそうだが、仲の良い母は「勝ったら入れていいよ。次はミッキー(マウス)がいいかもね」と肯定的だという。現在のタトゥーは4つ。このまま勝ち続けたらどうなってしまうのか……本人は「あと2つ、3つくらいの予定。でも、予定は未定ですからね」と笑う。
リング上で見せる強さや力強い振る舞いから「怖いものなし」と形容されることもある平田は、20歳という若さや自身が置かれた立場、周囲の評価を歓迎し、全力で楽しんでいるようにさえ見える。
「下から突き上げていくだけなので、楽しいです。まぁ、いつボコボコにされるかわかりませんけどね(笑)。とにかく、今まで女子格闘技界に存在しなかったようなカッコいい選手になりたいんです。両国では、私の打撃を見て欲しいですね」
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