10月11日から14日までに4日間、前橋競輪場にて「第28回 寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」というレースが開催されます。
レースのグレードは「GI」という、競輪界最高峰のレース「GP」に次いでグレードの高いレースです。
GIは年に6回開催されていて、優勝者は毎年12月30日に行われる、優勝賞金1億円の一発レースGPへの出場権を得ることができます。なので、選手は必死です。今年のGⅠは残り2回なので、かなり必死です。トップの競輪選手たちがかなり必死で戦う姿が観られるレースなのです。
冠になっている寛仁親王(ともひとしんのう。1946年1月5日-2012年6月6日)とは、ヒゲをたくわえた容姿から「ヒゲの殿下」の愛称で知られた、日本の皇族です。障害者福祉やスポーツ振興などの公務に積極的に取り組んでこられたこともあってか、1990年(平成2年)8月に前橋競輪場で行われた「世界選手権自転車競技大会」日本大会の名誉総裁をお務めになられておりました。
その年の5月に行われたのが「世界選手権自転車競技日本大会特別記念レース」。
1日開催で行われたのですが、その2年後、3日開催のトーナメントとして再び開催されることとなります。同時に寛仁親王殿下より「寛仁親王牌」が下賜されることとなり、「世界選手権記念トーナメント(寛仁親王牌争奪)」と名称を改めて開催されたのが第1回目となるのです(1992年・平成4年)。
翌年、4日間開催となり、翌々年、現在の「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」に名称変更。1999年(平成11年)の第10回大会より、グレード制導入に伴ってGⅠに格付けされて、今回で28回目を迎えます。
前橋競輪所のカントは日本一
今年も開催されるのは前橋競輪場。このレースが初めて開催されたことから前橋競輪場で開催されることが多く、今回を含めた全28回中、20回が開催されています(前橋競輪場以外では青森競輪場が過去に3回、弥彦競輪場が過去に5回)。ちなみに来年の第29回大会も前橋競輪場での開催が予定されています。
前橋競輪場といえば、日本で最初のドームバンク。群馬県内に本社を持つ、群馬が誇る家電量販店『ヤマダ電機』がネーミングライツを持つ『ヤマダグリーンドーム前橋』が主会場になってます。
利根川沿いに鎮座する巨大なドーム。中もかなり広々としていて、最大収容人数は2万人!(スタンドは7,594人)。競輪トラックの内側はアリーナとなっていて、スポーツイベントや展示会、コンサートなど、多目的利用されています。ちなみにこけら落としでは群馬県出身の『BUCK-TICK』と『氷室京介』がライブを行ってます!
競輪目線の話に戻しますと、36°という日本一のカントを誇るバンクで、屋内であるために風の影響もなく、選手はスピードに乗りやすいとのこと。いわゆる「サンサンバンク」と呼ばれる小回りバンクなのですが、ここだけ333mではなく335m。だからなのか、ゴール前の直線が長くて、先行逃げタイプの選手にはちょっとキツく、捲りの選手が有利といわれてます。
ドームの競輪場は屋外よりも圧倒的に静かなので、選手の会話や掛け声、息づかいまで聞こえてくるくらいです。残り1周半の打鐘(ジャン)以降は車輪の音も「シャンシャンシャン」とさらに激しさを増し、メットとメットがガンガンぶつかり合う音も聞こえてきて、臨場感たっぷり! 屋外の場ばかりというファンは是非ともこの機会に足を運んでいただきたいです。
グルメが豊富なのも魅力
前橋競輪場はグルメも豊富で、2階の『タバタ』には群馬名物「もつ煮」。3階にじゃ『スワン』というカレー専門店あり。そして群馬でお弁当といったら『登利平』の鳥めし弁当!
『登利平』は昭和28年に前橋に本店を開業。現在は群馬県内に28店舗、埼玉県内に3店舗、栃木県内に1店舗を構える有名店なのですが、そのうち20店舗はテイクアウトのみ。イートインできるのは12店舗しかないのですが……なんと、そのうちの1店舗が前橋競輪の2階にあるのです!
これは行かないわけにはいかないでしょう!……と、店内で食べようとするけどレースが始まっちゃうので、お弁当を観覧席まで持っていくのがほとんどなんですけどね。勝っていたら鳥めし弁当(松)、負けていたら鳥めし弁当(竹)をね。そこであえて松を買って、景気づけすることもあります!
ちなみに前橋競輪場へ行くなら、レースの合間をみて、もしくは1レースが始まる前に、ここだけは行っていただきたい。
「寛仁親王牌 メモリアル展示室」。歴代の優勝者の写真や、寛仁親王牌のレプリカなどが展示してあります。今回のレースに対する、思いも変わってくるでしょう。
ドームで静かといいましたが、ゴール前ではファンの歓声が中で反響して、コンサートのごとき盛り上がりを味わえます。屋外とは違った楽しみがある屋内競輪。しかもGIを屋内で楽しめるのは1年に一度あるかないか。お時間があるようでしたら、是非とも現地に足を運んでみてください。
とにかく入った瞬間、その大きさに圧倒されますから♪
文・ウエノミツアキ