FC町田ゼルビアは13日、明治安田生命J2リーグ第36節で、鹿児島ユナイテッドFCを町田市立陸上競技場に迎える。
35試合で勝ち点34の19位ゼルビアにとって、1試合消化数が少ない勝ち点30の20位鹿児島は、残留に向けたダイレクトライバル。残り7試合となったリーグ戦の1つの大きな山場を迎える。
ポイントはセカンドボールの奪い合い
今季からJ2に昇格した鹿児島との初対戦は第5節。敵地・白波スタジアムでの一戦は、立ち上がりからゼルビアが主導権を握り、前半の終盤に獲得したPKをFW中島裕希がきっちりと決めて先制に成功。しかし後半は一転して鹿児島ペースとなり、GK増田卓也の好セーブのおかげで苦しみながらも白星を手にした。
鹿児島はゼルビアと同様にポゼッションスタイルの戦い方を見せる。後方から丁寧にビルドアップし、中盤を飛ばすことなくしっかりと前線へボールを運んでいく。特に左サイドでプレーするMF牛之濱拓は攻撃のキープレーヤーで、ここまで7ゴール3アシストをマーク。良質なボールをゴール前に配給するクロッサーとしてだけでなく、積極的にボックス内に仕掛けてフィニッシャーとしてもプレーできる。
ボランチとしてプレーするMF八反田康平にも注意が必要で、ボール回収能力が高く、パスの展開力、前への推進力もある。バックラインと前線のつなぎ役として高い能力を発揮しており、ゼルビアにとっては警戒が必要だ。
前回の対戦でゼルビアは、特に後半セカンドボールを拾われてボックス内まで押し込まれる場面が続いた。今回の対戦でもポイントの1つはセカンドボールの回収にある。
ホームであること、さらに地力の差を考えても、ゼルビアが試合の大半で主導権を握るだろう。それだけにネガティブトランジションの意識は高く持たなければいけない。特に、上述した八反田にセカンドボールを回収される展開となれば、一気にカウンターを浴びるピンチとなってしまう。
だからこそゼルビアのボランチコンビ、MFロメロ・フランクとMF井上裕大は、いつも以上にディテールにこだわった戦いが求められる。井上がうまく八反田をケアしつつ、しっかりとボールを回収したい。ここで主導権を握れるかどうかが大きなポイントとなる。
そしてロメロ・フランクは、いつものようにゴール前まで突き進む推進力だけでなく、しっかりと井上のフォローもしなければいけない。普段よりも長い距離のランニングが必要となるため、ロメロ・フランクの出来はチームの勝敗を大きく左右するポイントとなり得る。
そのロメロ・フランクは9月26日付で日本国籍を取得したことが、クラブを通して10月3日に発表された。「夢と希望与えてくれた大好きな日本の国籍が取れて、とても嬉しく思っています」と帰化に喜びを見せるロメロ・フランクは「1人の日本人として、誇りを胸に日の丸を背負って、それに恥じないように更に気を引き締めて頑張ります」と意気込む。
今回の一戦は、日本人となったロメロ・フランクにとって“ホーム開幕戦”。チームにとっては15試合ぶり、そして自身にとっては新たな一歩の始まりとして重要な一戦だけに、ホームで喜びを分かち合いたいところだ。
文・川嶋正隆