ダンスや口パク動画が若者に大人気となり、全世界で10億ダウンロードを突破したモンスターアプリ「TikTok」。しかし中高生が使うモノ、というイメージから、"自分にはちょっと…"と敬遠している人も多いようだ。実際、街で聞いてみると「私はいいかな。動画とかは」(40代会社員)、「若い子が踊ってるのばっかりだったので面白くねえなと思って」(40代会社員)、「女子高生が制服で色々と踊ってるやつがあるが、自分では使っていない」(50代会社員)といった声が相次いだ。
しかし運営元のByteDanceでは、そうした意見に待ったをかける。同社の白地祐輝氏は「若い人にあまりにもすごいスピードで使って頂いたがゆえに、そういうイメージが世間には残っているのではないか。実際には本当に色んな世代、色んなジャンルの人がやっていて、中にはパソコンのエクセルの関数を紹介しているアカウントもある」と話す。
実際、川で料理をするだけの動画をアップし続け、フォワー120万人を達成したのが人気TikToker・バーソロミュー・ブックさんだ。山深い田舎の川で、サングラスにマスク姿で撮影する。「始めてから8か月でフォロワー100万人。1年以内で人生変わるって言ったら大げさかもしれないが、そういうことができるようなアプリなので、かなり魅力はでかい。コメント欄で世界中の人とコミュニケーションを取れるし、ボタン一つで翻訳もできる」。
一方、ネットを見てみると「TikTokおじさんに見つかってから急に冷めた」「遊び場荒らさないでほしい」と、ユーザー層を広げようするTikTok側の戦略に批判的な意見もある。マスメディアが取り上げたらオワコンだと言われることがあるウェブサービス。TikTokもそうなってしまう可能性はあるのだろうか。
クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏は「面白いのは、ツイッターやインスタに比べてTikTokはバズりやすい。ByteDanceは基本的にはAIの会社。バズる喜びを一般のユーザーに感じてもらおうとしているので、踊る動画を入れたら、その顔や音楽を好む傾向のあるユーザーに配信してくれる。つまり、ツイッターはゼロから始めないといけないのに対し、TikTokは応援してくれる機能があるということだ。また、女子中高生にとってオワコンになるということが、ようやくマスに届いたということと同義の時もある。彼女たちは常に新しいものに飛びついていくので、今年の夏に流行ったタピオカも、若干オワコン気味だ。逆に言えば、女子中高生の間で一旦飽きてもらうことがメジャーになるための階段だとも言えるので、正常な進化だと思う」と話す。
白地氏は「動画をアップすると、誰でもまず100、200はインプレッションされし、我々のフィードはすごく特殊で、ユーザーによって別物になる。大人が入ってきたとしても、それぞれにぴったりなコンテンツが流れている。知り合いではないが同じ動画にたどり着いて同じ気持ちを共有することもできる」。
慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「やっぱりマスになる前が面白いということだ。僕はニコニコ動画の黎明期にたくさん投稿して楽しんだが、こんなにマニアックな投稿でこんなに人が集ってくれるんだと感じた。しかし、ニコニコ動画が注目されると、政党の討論会が始まったり、有名人が入ってきたりしてマス化した。YouTubeも何万回、何十万回再生されるのが当たり前になっているので、廃れてはいないが、成熟している。TikTokも60秒一発撮りだったのが、うまい人がどんどん入ってきて、しっかり編集したものがアップされるようになった。例えばオリエンタルラジオの中田敦彦の動画にもテロップが入っていて、まさにプロの仕事だ。素人でも手軽に小さくできることが面白いが、中田さんみたいな人が入ってきて活路を見出すと、これからマス化すると思う。女子高生が"入ってこないで"といっている"おじさん"は、そういう人たちのことではないか」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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