現在のアニメ界において、しっかりとジャンルとして確立している「日常系アニメ」。近年流行している、主要キャラクターがいきなり未知の世界に飛ばされる「異世界系」とは異なり、文字通りどこにでもありそうな日々の出来事を描くことで、視聴者の共感を得て、心地よさを与えている。アイドルグループ「=LOVE」のメンバーで、大のアニメ好きで知られる野口衣織が、9月末で区切りを迎えた夏アニメの中で、特に気に入ったのが「女子高生の無駄づかい」だ。ゆるゆるとした作品である同作は、アイドルグループと同じく、女子校で繰り広げられる女の子たちの、脱力するほどくだらなくも、かわいらしい場面が描かれている。
「女子高生の無駄づかい」は、WEBコミック誌「コミックNewtype」(KADOKAWA)にて連載中の同作漫画が原作。さいのたま女子高校に通う、個性の強い女子高生たちが、輝く10代後半の時期を無駄に浪費するという日常学園コメディだ。入学早々、クラス全員のあだ名を真剣に考える「バカ」、漫画家志望でBL好きの「ヲタ」、成績優秀ながら無感情の「ロボ」の3人を中心にストーリーが進行するが、この会話の中身のなさ、どうでもよさの加減に、共感する女性ファンも多いという。
12人のアイドルグループのメンバーとして活躍する野口に、自分が「女子高生の無駄づかい」でどのキャラクタータイプかと聞いたところ「『バカ』、かな?(笑)あ、でも『ヲタ』でも。私もBLが好きなんで、共通点がありますね」と考えながら話していたが、途端に自ら「でも『ロリ』ちゃんが一番好きです!ロリちゃん、かわいい!」と、いきなりテンションを上げて話し出した。
この「ロリ」、小学生に間違えられるほどの身長と愛らしいルックスから、周囲から「かわいい」と呼ばれ続けているが、実はそれがコンプレックスというキャラクター。ナメられないようにと、あえて攻撃的な言葉づかいや反抗的な態度を取るが、その無理が丸々バレているあたりも人気の理由だ。また、自宅に帰れば心優しいおばあちゃん子の性格が全開放される。
「かわいくて小さい女の子が好き」と語る気十分の野口に「ロリ」の魅力を聞いたところ、あるエピソードの例を挙げた。「ロリちゃんが女子力を上げようと頑張る回があるんですよ。いろんな髪型をしたり、服を着たり。その様子が本当にかわいくて、放送された時は『ナイス!』って思いました」という溺愛ぶりだ。このエピソードの部分を改めて見ると「あー!これです!かわいいねー!いい子だねー!! あー、このメイクが下手なのもかわいい。全部かわいい!!」と、なぜか一人で拍手。インタビュー当日で一番のハイテンションに到達した。
この10月からも、多数の作品が新たに放送スタートしている。年々、高いレベルの内容を求められる中、視聴者もパワーを使う作品も少なくない。そんな中、野口は「しんどいくらい心を揺さぶられる作品を見た後に、こういうアニメを見ると、すごく心が楽になるんですよね」と優しい笑顔になった。いつ見ても、そのくだらなさや「ロリ」のかわいらしさは変わらない。心疲れた時に、また見たくなる作品の一つだ。
(C)ビーノ/KADOKAWA/女子高生の無駄づかい製作委員会