不可思のK-1での再起戦は、衝撃の“ラスト0秒”でのカウンターKO決着となった。
10月13日のK-1 KRUSH FIGHT後楽園ホール大会で、キック界で数々のタイトルを獲得した不可思が再起戦に臨んだ。鳴り物入りでK-1参戦を果たした不可思だが、初出場の6月のK-1 WORLD GP両国大会では佐々木大蔵のバックブローで出血し、敗北。今回はKRUSHで出直しの一戦となった。
対戦相手は個性派・堀井翼。相手に背中を向けながらグイッとのけぞり、メンチを切るポーズが話題になった好戦的な選手だ。選手としての実績では遥かに上の不可思は、1ラウンドKOを宣言。そしてその言葉を実現させるかのように、序盤に右ストレートでダウンを奪ってみせた。丁寧にジャブを突き、間合いを掴んだところで堀井の顔面を撃ち抜く見事な一撃。早い時間帯から倒しにいったのは、格の違いを示すという意味だけではなかった。
不可思はこれまでさまざまなルールで試合をしており、5ラウンド制のキックボクシングも主戦場の一つだった。しかしK-1は3ラウンド。攻防のテンポアップ、早めの仕掛けがテーマだったのだ。今回、1ラウンドにダウンを奪ったことで、不可思は“K-1仕様”の完成形に一歩近づいたと言えるだろう。
その後も手数、クリーンヒットとも上回った不可思だが、堀井も意地の前進。ただでは倒れない。不可思曰く「ダウン取ってから無駄な力が入ってしまった」。それでも、やはり不可思の地力は並ではなかった。最終3ラウンド、左右のボディを効かせるとまたも右ストレートでダウンを奪う。さらに、強引に距離を詰めて逆転を狙う堀井にカウンターの右を決め、試合終了の3分ちょうどにKO勝利を決めた。
「ギリギリのKO」と不可思自身も言うように、完全に満足できる試合ではなかった。とはいえK-1系の試合で初勝利を飾り、新たなキャリアのスタートを切ったのは間違いない。狙いはもちろん、安保瑠輝也が持つK-1スーパー・ライト級王座。不可思は「簡単にやらせてはもらえないでしょう。一つずつクリアしていくしかない」と冷静に語った。次のターゲットは、地元でもあるK-1名古屋大会(12月28日)。そこで勝ち、大きなインパクトを残して2020年につなげたいところだ。
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