神奈川県・川崎市のJR武蔵小杉駅近くにある、47階建てのタワーマンション。台風19号の浸水による影響で、今も停電や断水が続いている。
このタワーマンションの部屋を所有し賃貸に出しているというオーナーの元には、管理会社から次のようなメールが届いたという。
「今後賃料につきましても入居者に返金する必要がございますので、オーナー様にお送りする本賃料をご返金させていただくことになりますのでご了承ください」
オーナーは部屋の利用者からの賃料を、管理会社を通じて受け取っている。しかし、停電と断水で部屋が利用できなくなったために、管理会社から利用者に賃料を返金。オーナーに送るはずだった賃料が送金されないことになった。
管理会社は、停電の原因は「地下の機械室が浸水したこと」だとしている。オーナーからみれば浸水には責任がないにも関わらず、得られるはずの賃料収入が突然ゼロになったことになる。怒りの矛先は、対策を取らなかった管理会社や建設会社に向かっている。
また、武蔵小杉一帯の停電の余波は別のところにも。16日朝、JR横浜駅の改札付近は大混雑に見舞われていた。原因は、横浜駅にある自動改札機を武蔵小杉駅に移設したこと。武蔵小杉駅には自動改札機6台が緊急移設されたが、そのうち2台は横浜駅南口のものだった。
横浜駅南口の自動改札機はもともと17台あり、2台減らしただけでもかなりの混雑となっている。横浜駅の利用者からは不満の声も上がっており、JR東日本は「入場規制するまでにはなっていないが、やや混む時間もある」として、緊急的な措置への理解を求めている。
タワーマンションのオーナーへの「家賃返金通告」について、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は「不満はあるかもしれないが、マンションを買って人に貸すというのは自分でお店を経営しているようなもので、自然災害でお店が営業できなくなった時に客が来なくなっても文句は言えない。平常通り運用すればお金が入ってくるというのが財産運用の考え方だと思うので、ある程度仕方ないと思う」と指摘。
また、都市圏で想定外の被害が出たことには、「武蔵小杉は大規模な都市計画の中で作ってきた街だと思うが、今回のような被害は想定されていなかったのでは。今回被害が大きかったのは本州の太平洋側の地域で、特に関東平野は大きな台風が来ない、雪も降らないということで、工場やマンションが建てられて栄えてきた。ただ、気象環境は大きく変化するということがわかってきて、それに備えた都市計画を考え直さなければならないだろう。東京は世界で一番稼いでいる都市圏だとされているが、その理由は日本中のいろいろな物を一カ所に集めているから。自然災害に強くするためには一極集中は危険なので、日本の都会のあり方も変わってくるかもしれない」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶映像:タワマン“停電&断水”で住民から不満の声
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