先日、飲み屋で隣のお客さんに「何をやってるんですか？」って聞かれたので「『ミッドナイト競輪』です」って答えたら「競輪ってこんな時間にやってるんですか!?」と言われました。
はい、やってます。ほとんど毎日、21時から24時の間も競輪は開催されているんです。それが『ミッドナイト競輪』。
公営競技のナイター競走は概ね21時までに終了しますが、そこから始まるのが『ミッドナイト競輪』です。2011年1月14日に小倉競輪場で初めて開催され、間もなく丸9年になります。
「でも、そんな時間にやっていたら近隣住民に『うるさい！』って怒られませんか？」
大丈夫。観客を一切いれませんので、騒々しさはありません。競輪は自転車なのでレース自体は至って静かです。
「レースは普段と同じなんですか？」
基本的には変わりありませんが、全レース7車立てです。S級のレースはなく、A級1・2班戦、A級3班戦、ガールズケイリンが行われます。
購入可能な車券の種類は2車複、2車単、3連複、3連単、ワイドの5種類だけ。無観客レースなので本場で購入することはできず、サテライトなどの場外車券売場でも発売されません。『WinTicket』などのインターネット投票サービスにて購入することが可能です。
「全国すべての場でやっているの？」
いいえ。しかし、小倉・前橋・青森・高知・佐世保・玉野・奈良・武雄・西武園・大垣・弥彦・別府・宇都宮・松阪・松戸・川崎・伊東・松山・豊橋・四日市・函館、そして今年の11月5日より開催予定である名古屋を加えた計22もの場で開催されています。
「観客を入れないんだったら、どうやってレースを観るの？」
『WinTicket』などのインターネット投票サービスにて無料のライブ配信がありますので、そちらで観戦可能です。解説者による予想もあって、初心者が競輪を始めるのにとても良い環境です。
「初心者にいいんですか？」
はい。初心者は『ミッドナイト競輪』から始めるのがいいと思いますよ。
まず9車立てがメインの競輪において、『ミッドナイト競輪』は全レース7車立てです。3連単で比較すると、9車立てでは全504通りあるのに対して、7車立ては全210通り。単純に7車立てのほうが当てやすい＝『ミッドナイト競輪』なら的中率が高いということになります。
ちなみにA級3班によるチャレンジレース初日は的中しやすい番組が多くなります。新人選手はどんなに強くてもA級3班からスタートします。そこで9連勝すると「特別昇班（特昇）」といって、入れ替えを待たずに班を上がれます。毎年新人選手が入る7月から順次、何人かの選手が特昇していくですが、それはすなわち9連勝するような新人が何人もいるということです。
しかもそういった強い新人選手が1レースに1人は入れられて、残りはA級3班のベテラン選手といった実力差の大きな番組が多くなり、ほぼ1着は堅い、頭は堅いレースが初日（ないし2日目まで）組まれることが多いのです。
7車立てで頭が決まれば残り6車の2着3着なので、6×5=30通りから当たりを予想すればいいということになり、的中率は自ずと高くなるのです。
今でしたら115期が1人いるレースは狙い目ということ。
ほかにも人数が増えたといってもまだまだ足りないガールズケイリンも実力差の大きなレースが多いので狙いやすいです。
「でも、そんなにバレバレだったら、みんな買うから配当が安くなっちゃうんじゃないの？」
競輪などの公営競技は簡単にいうと「みんなから集めたおカネを当たった人たちで分配する」という仕組みになってます。つまり「みんなから集めたおカネ」が多ければ多いほど、配当が高くなるのです。
競輪の売上額は2018年まで5年連続で増加しているのですが、それをけん引しているのは『ミッドナイト競輪』です。昼開催の1レースの何倍も売り上げます。おカネが集まります。当然、配当が高くなります。
「それでも1番人気に集中しちゃったら、オッズは安いままじゃないの？」
逆にいえば1番人気以外のオッズが想定される的中率による期待値よりも高くなる傾向になるということ。それを「オッズ妙味がある」と言うのですが、そういうレースが多くなります。1番人気がコケたら、予想以上の高配当というレースが目白押しということなのです。穴党なら急いで参戦すべき！
スマホやタブレットなど、インターネットにアクセスできる端末があれば、どこでも参戦可能です。だから飲み屋なんかでも、酒を飲みながらスマホで車券を買って、そのままスマホでレースを観戦するといった楽しみ方ができる。それが『ミッドナイト競輪』なんです。
「でも、さっきから、酒も飲まないで競輪ばっかやってますよね？」
そうなんです。そもそも通常開催よりも周回数が少なく（通常は1レース約2千メートル＝400メートルバンクで5周だが、約1500メートル＝400メートルバンクで4周と、通常より1周少ないのが基本）、展開がスピーディーなので、最近では全7レースではなく、全9レース開催のときもあります。それが2場開催ともなると、合わせて18レース。21時から24時、実際には23時半までの2時間半で18レースということは、予想からレースが終わるまで、1レース8分ちょっとくらいしか時間がないわけです。だから全レースやろうとすると、忙しくて忙しくて……。
それだけレースが目白押しってことは、逆に当てやすいレースを絞って買っても暇な時間はできないということ。飲みながらやるのにちょうどいい感覚で遊べます♪
「遊べるっていうレベルじゃなくて、かなり熱くなっちゃってますよね？ さっきも騒ぎすぎてマスターに怒られてたじゃないですか」
そうそう、レース観戦はついつい熱くなっちゃって、飲み屋では他のお客さんに迷惑を掛けてしまうことも。そこでオススメなのが「カラオケボックスで『ミッドナイト競輪』」。
個室にタブレットを持ち込んで、友人たちと飲み放題で観戦。完全防音なのでどんだけ喜びの雄叫びを挙げてもOK。気兼ねなく野次ることが可能ですので、是非お試しを♪
ちなみに友人の車券を代わりに買うと「ノミ行為」に当たる可能性がありますので、インターネット投票サービスには各自登録しましょう。
文・ウエノミツアキ
