安定的な皇位継承をめぐり、政府は当初想定していた有式会議を設置せず、専門家から個別に意見を聞く案を検討していることがわかった。
天皇退位に関する特例法の国会の付帯決議は、政府に対して安定的な皇位継承について速やかに検討するよう求めている。そのため政府は年内に有識者会議を設置し、議論を始める方向で調整を進めていた。しかし、皇室制度をめぐっては様々な意見が存在し、政府関係者は「会議を開いても結論は出ない」として、有識者から個別に意見を聴取する案を検討していることを明らかにした。
また、落ち着いた環境で行うため、本格的な議論は秋篠宮さまが皇位継承1位となったことを示す「立皇嗣の礼」が終わった2020年4月以降に始める案が浮上しているということだ。
皇位継承に関してキーワードとなるのが、「男系天皇」と「女系天皇」。男系天皇は父親が過去をさかのぼっても皇統に属している天皇で、女系天皇は天皇の血を引く母親を持つ天皇を指す。
産経新聞によると21日、自民党の「日本の尊厳と国益を護る会」が皇位の男系継承堅持のための具体策を提言した。代表幹事の青山繁晴参院議員は「二千数百年にわたり変わらず受け継がれてきたかけがえのない伝統を、ひとときの時代の価値観や判断で断絶することは許されない」「女性天皇が民間人と結婚され、その子が即位された場合に王朝が変わってしまう」とした上で、旧宮家の男子について「皇族の養子か女性皇族の婿養子となられることがあり得るよう、皇室典範の改正または特例法の制定を」と皇族復帰を提案した。
自民党議連が提言する男系堅持について、『ニューズウィーク日本版』の長岡義博編集長は「男系継承を維持するとなれば、男子が生まれない可能性が増えるのは予想されたこと。ある夫婦が子どもを2人生むとして、男子が生まれる確率は2分の1。その男子から男子が生まれる確率は4分の1、さらにその先は8分の1と細っていき、それを補完するため以前は側室制度が残っていた。側室は今の時代には合わない、女系天皇も反対となると、旧宮家の復帰、天皇の血を引く男子の婿養子という選択肢しかないのでは」との見方を示す。
一方で、「国民が旧宮家の皇族復帰を本当に望むのかは別問題」だとし、「男系は東アジアに根強い独特の価値観で、中国にもある。これを覆すのはなかなか簡単ではない。皇族女性の出産適齢期も考えると切実な問題」と指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)







