
(両国2連戦も「なんのプレッシャーもない。いつも通り自分らしく」とイサミ)
首都圏では毎日どこかでプロレスの興行が開催されているが、両国国技館での団体別3連戦は珍しい。11月2日のノアに続いて3日にはDDT、そして4日は大日本プロレスがビッグマッチを開催する。
それぞれ力の入ったカードが並んでいるが、その中で2大会に出場、しかもシングルマッチ2連戦を行なう選手がいる。プロレスリングBASARA代表の木高イサミだ。
イサミはデスマッチからコミカルな試合、女子との対戦となんでもござれのオールラウンダー。11.3DDTでは“大社長”高木三四郎と「プラケース100個マッチ」で対戦する。
DDTグループのBASARAはこの秋、新会社を設立し、来年から完全独立。高木は「団体経営イズム伝承」という意味もあってこの試合を組んだようだ。
「イサミには経営のこと、ギャラ交渉だったりメンドくさい縦社会のかわし方を教えたい。それに加えてリングで教えなきゃいけないのは大人げなさ。高木三四郎流の大人げなさを見せつけてやる」
記者会見でそんなコメントもしている高木。イサミは「ボコボコにしばき倒すことで感謝の気持ちを示したい」と言う。衣服などを収納するプラケースを100個使っての試合となれば、ほぼデスマッチ状態だろう。リング上はプラスチックの破片で埋め尽くされることになる。しかもこの試合は大会の本戦オープニングマッチ。プロレス団体を経営する者同士の“大人げなさ合戦”が大会に火をつける。

(久保とFUMAはタッグ2冠を狙う)
翌4日の大日本プロレスでは、イサミはメインに登場。デスマッチヘビー級王座の防衛戦に臨む。「4ボード・ギガラダーデスマッチ」で対戦するのは名タッグチーム「ヤンキー2丁拳銃」のパートナーである宮本裕向。インディー、あるいは“どインディー”のリングで叩き上げてきた両者の両国メインは、ファンにとっても感慨深いものがある。
DDTでは大会に勢いをつけるオープニングマッチ、翌日の大日本ではメインでデスマッチ王座戦。この試合の組まれ方からも、イサミの人気と実力、評価の高さが感じられる。
またイサミ以外のBASARAの選手たちも大勝負が続く。ユニオンMAX王者の関根龍一はDDT両国で高梨将弘相手に防衛戦。成長株の阿部史典はガンバレ☆プロレス石井慧介が持つインディーJr王座に挑む。また阿部は全日本プロレスの世界ジュニア王座決定トーナメントにもエントリー。インディーと老舗、二つのベルトを巻く可能性が出てきた。
BASARAの初代タッグ王者になったばかりのFUMA&久保佑允はKO-Dタッグ選手権4WAYマッチに挑む。こちらはBASARAとDDTのタッグ2冠が目標だ。同じ試合には新鋭・下村大樹が藤田ミノルと組んで出場する。トランザム★ヒロシはKO-D10人タッグ王座決定戦、塚本拓海&ヤス・ウラノ&中野貴人はUWA6人タッグ王座防衛戦だ。

(石井に挑戦する阿部(左)は誰もが認めるプロレスセンスの持ち主)
11.3両国では多くの選手がタイトルマッチに参戦。つまりBASARAが一気に“チャンピオン集団”になるかもしれないわけだ。ヘビーメタルレスラーのFUMAにヨガを武器とするヒロシなど個性派、曲者がひしめき合っているのがBASARA。とにかく好きなことをやればいいというのがイサミの方針で、結果として今のBASARAは自由すぎる団体になった。
“普通の試合”がないこともしばしば、というより“普通”の基準が揺らぐのがこの団体の楽しさ。両国シングル2連戦のイサミを筆頭に、BASARA勢は“外”の舞台でその魅力を観客にぶち込んでくるだろう。
文・橋本宗洋
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