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(前哨戦でも激しい攻防を展開してきた両者)

 ここ数年で、DDT戦線は大きく様変わりした。20代の新世代レスラーたちが台頭し、個性と実力を存分に発揮しているのだ。その筆頭が、竹下幸之介だ。まだ24歳と若いが2012年に高校生でデビュー。常に将来を嘱望され、期待に応えて結果を出し続けてきた。

 竹下が“新エース”となったのは2017年3月のさいたまスーパーアリーナ大会。DDT旗揚げ20周年大会だった。この大会のメインで、竹下は長年にわたって団体を引っ張ってきたHARASHIMAに勝ち、KO-D無差別級チャンピオンになっている。記念大会での王座奪取は、明確な“政権交代”だ。その後、竹下は最多防衛記録を樹立。ベルトを奪われることもあったが常に取り返し“DDTの王者=竹下”というイメージが確固たるものになってきた。

 ただHARASHIMAも、時代を譲り渡したつもりはなかった。KO-D無差別のベルトからは離れていたが常に第一線で活躍し、9月の後楽園大会ではDDT EXTREME級チャンピオンに。そして11月3日の両国国技館大会では、竹下とのダブルタイトルマッチに臨む。勝てば2冠王、2年7ヵ月ぶりのKO-D無差別級王座返り咲きだ。10月23日の記者会見で、HARASHIMAはこう語っている。

「さいたまスーパーアリーナで竹下にベルトを獲られましたけど、ベルトをあきらめたとか譲ったとか、そういう気持ちはなくて。今回は“時は来た”と感じてます」

 これまでベルトを何度も巻き、両国大会のメインで勝利してきたHARASHIMA。20年近くキャリアを重ね、竹下の成長も認めながら、しかし自分が衰えたとはまったく思っていない。一方の竹下は、時代の変化を口にした。

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(会見での表情も対照的だった)

「HARASHIMAさんにはずっと両国のメインに立ってきたイメージがある。さいたまで僕が勝った時は“竹下はHARASHIMAを超えられるか”の試合でした。でも今は“誰が竹下を止められるのか”になっている。それがこの2年間の現実」

 団体を背負うチャンピオンとして、竹下は「今回の試合は今までにない緊張感、危機感に近い感覚があります。今回はDDTにBASARA、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスのタイトルマッチも並んでいる。どの団体も凄い選手ばかり。本当の勝ちというのは、僕とHARASHIMAさんの試合がこの中でベストであること」とも語っている。

 大会全体について考え、またDDTの闘いを世界に発信しようとしている竹下に対し、HARASHIMAはベルトに集中している。

「竹下は他の試合に負けたくないと。その気持ちはいいと思うんですけど。僕はお互いが全力を出して、結果、僕が勝つことでお客さんが満足すると思ってます」

 DDTではベテランのHARASHIMA。今回はダブルタイトルマッチだが、スタンスは挑戦者、すなわち“追う者”だ。今のHARASHIMAからは“追う者”ならではの勢いと気迫が感じられる。圧倒的な力量を誇る竹下にとっても、11.3両国はかなり厳しい闘いになるに違いない。

文・橋本宗洋

▶映像/11月3日14時から「DDT LIVE! 両国」、ケニー・オメガも参戦

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