結果がどうなるかは分からない。しかしお互い自信だけはとにかくある。そんな試合だ。11月3日のDDT両国国技館大会。グループ全団体の選手が集まるこの大会で、中島翔子と坂崎ユカが東京女子プロレスのシングル王座「プリンセス・オブ・プリンセス」をかけて対戦する。

 チャンピオンである中島が少し先輩だが、ともに旗揚げ戦から出場。リングが組めない小さな会場でのマットプロレスからキャリアを重ね、実力をつけて団体を大きくしてきた。2人は東京女子の初代タッグ王者でもある。

 現在は後楽園ホールが超満員になることもあり、トップ選手の海外遠征も増えてきた。そんな中での大舞台。東京女子プロレスをまだ見たことがない観客、世界中のプロレスファンにアピールしたいというのが両者に共通する思いだ。それだけの試合をする自信もある。

「気持ちはグツグツ煮えたぎってます。何にもどこにも負けない、東京女子が一番だってところを見せたい」(坂崎)

「坂崎ユカと大舞台でシングルのベルトをかけて闘うのが夢でした。両国は東京女子を知ってもらうのに最高の舞台。そこで最高の試合をします」(中島)

 旗揚げ当時の東京女子プロレスは新人しかいなかった。お手本となる女子の先輩がいないため、それぞれが研究と創意工夫を重ねることで独自の世界を作り上げ、そのことで人気を博している。坂崎の言う「どこにも負けない」は「どこにも似ていない」という意味でもあるだろう。

 大一番に向けての前哨戦は回を重ねるごとにヒートアップ。試合後に乱闘となることもあった。同時にそれぞれの技に磨きがかかり、次の一手を読み、裏をかいていく展開も目立つ。タイトルマッチ本番での展開、フィニッシュはまったく予想できないと言っていい。

 お互い「まだ全部出してない、隠しているものがあるはず」と見ており、中島は「試合が長引けば長引くほど(坂崎の)殺人鬼のような顔が見えてくる。化けの皮をはがすのが楽しみです」とも語っている。華麗なテクニックを誇る坂崎の“恐さ”がポイントというわけだ。

 一方、坂崎は「東京女子への愛が深いのはどっちなのか、競い合いたい」。やはり試合の根底にあるのは「東京女子プロレスだからこその闘い」なのだろう。DDTの大会だけに男子の試合と比べられるのは不利なようにも思えるが、両者のスピードやテクニック、試合運びの巧みさがより際立つ可能性も充分。「前転、後転、受身の練習からずっと隣でやってきた」(坂崎)、「大会の前説も一緒にやった」(中島)という名コンビの闘いが団体史上最高の激闘、あるいは両国大会のベストバウトになっても、決しておかしくはない。

文・橋本宗洋

視聴予約/11月3日14時~ DDTLIVE!ビッグマッチ

【ケニー・オメガ参戦!】DDT LIVE!ビッグマッチ~DDTグループ大集合~
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