![ケニー、5年ぶりの古巣参戦でカオスな“イズム”全開「これがDDTスタイル」](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/724w/img_bce51f907baa5782e8a5441c9a87d47c670737.jpg)
新日本プロレスでトップを取り、現在はアメリカの新団体AEWで活躍しているケニー・オメガが、久しぶりに日本マット登場を果たした。しかも古巣であるDDTのリング。5年ぶりの参戦だ。
11月3日、両国国技館大会。ケニー自身が希望したという対戦カードは、ケニー&里歩vsアントーニオ本多&山下実優という男女ミックスマッチだった。アントンはコミカルな持ち味で知られる選手であり、しかも女子選手とのタッグ(対戦)ということで試合前から賛否両論となったが、実はこのカードはケニー自身が希望したもの。新日本プロレス時代には考えられなかった、しかし間違いなくケニーの得意分野と言える闘いだ。リングインはDDT時代の曲で。これには多くのDDTファンが涙した。
試合はそれぞれの個性のぶつかり合いとなった。ケニーがノータッチ・トペコンヒーロを繰り出せば、東京女子プロレスのエース・山下は強烈な蹴りを叩き込む。コーナーでケニーが山下を担ぎ、その背中の上に乗った里歩がアントンにダイビング・フットスタンプという超大技も。
そしてアントンは、いつでも誰が相手でもアントンだった。正攻法のグラウンドを見せたかと思えば場外ダイブ(の助走)で転倒し、ケニーを呆然とさせる。そして代名詞「徹夜で考えた創作昔話・ごんぎつね」からの目潰しも見事に命中。試合後に「これがDDTスタイル。他の団体ではできない」とケニーが満足そうに言った独自の世界がそこにあった。
![ケニー、5年ぶりの古巣参戦でカオスな“イズム”全開「これがDDTスタイル」](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/e/3/724w/img_e3edf4d982312b2876558d23dd0ee601777785.jpg)
(アントン&山下のごんぎつねが直撃)
しかしDDTらしさとは笑いの要素だけではない。アントンは“熱さ”“エモさ”も一級品。ナックルの連打に込められた気迫は2階席の最後方にまで伝わったはずだ。ケニーも呼応し、必殺技・片翼の天使でフィニッシュ。出し惜しみなしの21分22秒となった。
「いつものマットと違ったけど、本多さんとロックアップした時に懐かしいって感じがした。お客さんもやっぱりDDT。ファンは多くなったかもしれないし、少なくなったかもしれない。でもDDTっぽい優しいファンでした」
ケニーは“里帰り”の感想をそう語っている。AEWでは副社長として女子部門の担当でもあり、選手を見るだけでなく自ら対戦することを重視しているという。山下について「やっぱりいい選手。AEWにいないタイプだから(女子戦線に)入ってもいい気がしますね」というコメントも残した。
メインイベント後のエンディングでは、DDT二冠王となったかつてのライバル・HARASHIMAとの2ショットも実現した。今後のDDT参戦については「機会があれば」と語ったケニー。翌日の記者会見では新世代の竹下幸之介、遠藤哲也に苦言を呈しており、今後のDDTでの展開が余計に気になってくる。
文・橋本宗洋
写真/DDTプロレスリング