▲11月18日放送「しくじり先生 俺みたいになるな!!」に登壇
2011年、加藤茶と45歳差で結婚した加藤綾菜。当時、68歳と23歳の“年の差婚”は世間でも大きな関心を集めた。マスコミに結婚が報道されると「間違いなく財産目当て」「保険金詐欺だ」と妻・綾菜へのバッシングは大きく、ポストから郵便物が盗まれたり、SNS上で住所が拡散されたり、引っ越しを繰り返せざるを得ない状況だったという。
今回、編集部では加藤綾菜にインタビューを敢行。45歳の“年の差婚”に至った理由、結婚後の苦労を聞いた。
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―― 当時、45歳差で大変話題になりましたが、加藤茶さんのどういうところに惹かれたのでしょうか?
加藤綾菜(以下、加藤):私、加トちゃんと出会う前までは本当に同年代くらいの人としか付き合ってこなくて。ものすごく年上が好きとか、そういうこと一切なかったんですよ。和食屋さんでアルバイトをしていたのですが、たまたまそこの常連さんに加トちゃんがいたんです。
―― 加藤茶さんから電話番号を書いて渡してきたそうですね。
加藤:若い頃は加トちゃんも尖っていたかもしれませんが、60代になってすごい物腰が柔らかくなったというか、下の立場の人にも紳士的で優しかったんです。こんなペーペーの和食屋のアルバイトだった私に優しくしてくれて。好きになったのは、偉ぶることなく同じ目線で私と話してくれたってところが大きいですね。「あれ早く持ってきてよ!」って横柄な対応を取るお客さんもいますが、加トちゃんはお茶を出しただけでも「ありがとうね」って言ってくれて。あと、背がちっちゃいし、物理的にも目線が合う(笑)。
―― 交際を周囲に話したときは、どのような反応だったのでしょうか?
加藤:今でも信頼している幼なじみの親友に交際のことを話したら「本当に?」って信じてくれなかったんです。だから1回、その親友と加トちゃんを会わせて。そしたら「本当に好き同士なんだね!」って分かってくれました。それからはずっと応援してくれていますね。逆に私の両親の方が偏見なく祝福してくれてびっくりしました。
―― ご両親に加藤茶さんを会わせたときはどのようなリアクションでしたか?
加藤:私は広島出身なのですが、たまたま加トちゃんに地方公演があった日に、うちの実家に寄って挨拶してくれたんです。両親が世代的にドリフターズの大ファンで、加トちゃんがソファに座ると、両親も「ずっと『8時だョ!全員集合』観てました!」みたいな(笑)。両親からの反対は全くなくて、結婚の報告をしたときも「加トちゃんのために生きる人生って素晴らしい」って言ってくれたんです。
「祝福されると思っていたのに…」マスコミの結婚報道、世間からのバッシング
―― 結婚報道後、家族や友人にまでマスコミが殺到したそうですね。
加藤:最初はただただ驚きで「えっ?!」って思っていました。結婚当初は周りに祝福されると思っていたので「幸せになるために結婚したのに、なんでこんなに叩かれるんだろう」って落ち込むこともありました。時間が経ってから「こんなひどいことを言われると分かっていて、加トちゃんはよく私と結婚してくれたな」と思うようになって、今は結婚してくれた加トちゃんに感謝ですね。
―― 加藤茶さんは、綾菜さんに対するバッシングをどのように見ていたのでしょうか。
加藤:加トちゃんはいつも通りでした。いつもと変わらず、私のそばで優しく寄り添ってくれて「今は忍耐だよ」って。それしか言わなかったですね。でも、私より絶対加トちゃんの方が傷ついていたんじゃないかって思うんです。加トちゃんも「自分の妻がここまで言われるのが人生で一番精神的につらかった」と言っていて、世間の厳しい声を一緒に乗り越えて来ました。
私たちは今年で結婚9年目になりますが、本当に私が「財産目当て」の結婚だったら、そもそも効率が悪すぎますよ(笑)。過去、ブログに作ったご飯の写真を載せたことがあるのですが、夕食が揚げ物だったら「ハイカロリー殺人事件」なんて言われて。保険金狙いだったら、証拠となるような画像を載せるわけないだろ!って思います(笑)。
―― ネットで住所が晒されて何回も引っ越しをされたそうですね。
加藤:ひどかったのは、結婚5年目くらいまでですかね。「しくじり先生 俺みたいになるな!!」の授業でも話しますが、引っ越したその日に住所が特定されて。私はSNSをやらないので分からないのですが、周りの人に「Twitterに住所が投稿されているよ!」って教えてもらったんです。引っ越した日に「駐輪場で見ました」みたいな。自転車もボロボロにされて木に吊るされたり、マンションだったのでご近所さんに迷惑がかかったりして、半年くらいで引っ越すことが多かったです。
―― SNSをはじめ、ネットでバッシングする人たちを見て、綾菜さんご自身はどう思っていましたか?
加藤:私、中学生のとき、すごいいじめに遭ったんですよ。隣のクラスにいた友達一人だけが寄り添ってくれて。お昼はいつもトイレでお弁当を食べていました。トイレで食べていても順番に「ここにもいない」「ここにもいない」って、いじめっ子が探しに来て、中に入っているのが私だって確信すると、ホースで水を入れられて。
―― そんな壮絶な過去が……! つらくなかったですか?
加藤:つらかったですが、いじめがあって10代の頃から「いろいろな考えを持つ人間がいるんだな」って知ることができたんです。もし他人で男性と45歳も離れている女性がいて、その2人が結婚するってなったら、私でも「絶対なんかある!」って思っちゃいます。私が言っても、ちょっと説得力がないかもしれませんが……(笑)。
だから「そう思う人もいるよね」って今は吹っ切れていますね。誰かを攻撃することは簡単ですが、他人にどう思われるかより、自分がどんな風に生きたいかを大事にしたいと思っています。いちいち反論するんじゃなくて、等身大の自分を認めてもらおうと思って、頑張っているうちに9年経っていました。
―― 結婚生活9年目になった今、加藤茶さんと喧嘩することはあるのでしょうか?
加藤:今は全然ないですね。7年目ぐらいから本当に喧嘩しなくなりました。何があっても仕事に行くときは「いってらっしゃい!」って、笑顔で送り出す。お互いちょっと疲れて機嫌が悪いときや、ギクシャクするときがあっても、次の日に引きずらないようにすることが、仲良くいる秘訣だと思います。
この9年間、さまざまなことがありましたが、夫婦の絆が深まるきっかけもたくさんあって。これからも加トちゃんに感謝しながら、一日一日を大切に生活していきたいです。好きな人と一緒にいられて、自分が幸せならそれでいいんです。
Photo:岡田誠